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テースティング・レポート

2012/9/21


第一回デカンター・アジア・ワイン・アウォード
First Decanter Asia Wine Awards

写真は、ジャッジ・パーティーの様子です。 残念ながら私は一足先に帰国したので参加しませんでした。

第一回デカンター・アジア・ワイン・アウォード

約3000本のワインの審査を約50名で審査しました。全日程は9月20日の午前中で終わったは ずですが、わたしは仕事の関係で前半2日だけで戻ってきました。

日本からの審査員としての参加は、超有名な大御所Aさん、ワイン学校経営で著書多数の Kさん、甲州ワイン関係のOさん、そしてわたしでした。やはり半分以上は香港、シンガポー ルからの参加でした。意外にも中国本土、台湾、韓国といったところからの参加は日本以下 でした。半分は白人でしたでしょうね。結構香港、シンガポールには英語が通じるので滞在 している人は多いのです。

審査方法はジャパンワインチャレンジと同じなのですが、今回初めての試みという事で、全 員のジャッジはPCを持たされて全ワインのコメントを入れていかねばなりません。国籍に関 係なくPCに弱い人はいるわけでして、苦戦している人も少なからずいました。香港在住のイ ギリス人が苦戦しているのを見ておかしかったですが、「おれはこんなもの使わないだよね ー」とぼやいていました。

一方でシンガポール在住のインド人は、決められたこと以上のなんだかわけのわからない ことをやっていました。ま、パソコンの話はいいのですが・・・

それ以外の参加者は、スティーヴン・スパリエとデカンターの有名テイスター、そしてマスタ ー・オブ・ワインが数名、去年だかおととしだかに、世界ソムリエコンクールで優勝したジェラ ール・なんとか、といった人たちは、審査員が審査して迷ったワインを最終的に判定すると いう役割の人たちです。そこに田崎さんも含まれてましたが、3日目からの参加ということで 会えませんでした。

わたしは、1日目はボルドーの審査に入りました。予定されていたのは4名のパネルでした が、午後は一人抜けて3名でジャッジしました。スペリゥール、右岸サテライト(コート・ド・ブ ールとか)、サンテミリオンサテライト(リュサック・サンテミリオンとか)、メドック、と続いて最 後がソーテルヌの審査となりました。それぞれのパネルには必ず偉いさんが一人ついてい ます。われわれのパネルにはシンガポールのポー・ティエンがつきました。彼はデカンター 誌のアジア代表みたいな人です。

ソーテルヌはスパリエも自ら審査に入ってきました。パネルのあとの二人は「ソーテルヌは 苦手」とこぼしていて、ほぼ「銅」と言っていたのでしたが、わたしが「金」を連発し、スパリエ もポー・ティエンも同じだったのでそれで良かったのでしょう。12本のソーテルヌから4本の 「金」を出しました。

先週、「現地からツイッターするかもしれません」なんて暢気なことを書きましたが、ぜんぜ ん時間はありませんでした。1本2分でテースティングコメントを終えるように言われ、必死に 書きまくっていました。 われわれは真面目にコメントを書いていたので(?)、パネルの終了時間は全パネル中、最 後で、他からかなり遅れて18:50までかかりました。ヘトヘトでした。

翌日は、クレマンを含むブルゴーニュとローヌとオーストラリアの試飲でした。前日の2倍程 度の試飲でしたが、パネルの連中も要領を得たのでしょう、17時には終わっていました。は っきり言って2日目はつまらなかったですね。要領を得てしまうとなんだか学びがないですね。 それ以上に「金」ワインがゼロというのもなんだかつまらなかったのです。

この審査会でデカンターの傾向がわかりました。それはワイン・アドヴォケイトの傾向と全く 異なるという事もわかりました。そして最終的には↑に述べた重鎮の好みが影響するという 事もわかりました。「場所、生産年、ブレンド率も考慮してイメージから遠くないことは大事」 と言いつつも、重要な要素は逃さないという事なのですね。わたしなど、豪州シラーズでは MW2人と議論をしました。そして負けました。というか、ひきました。パネルにいたイギリス 人は「負けるなー」と声援を送ってくれましたが、やはり長いものにはまかれてしまいまし た。

それから日本ワイン業界の重鎮Aさんが言っていたことはやはり心に響きましたね。「フラン ス語じゃなくて英語ができねばダメ。そうでないとやはり日本は情報発信ができる場所とし て認められない」と言っていました・・・中身はともかく、たまたま英語が喋れる人間としてわ たしも呼ばれたのでしょうが、たしかにこのような場所に日本人が入って行けるようにならな いと、海外生産者、海外メディアからは、日本は仲間ではなく、あくまでもお客さん、という扱 いになるのだと思います。当然他のアジア諸国には追い越されます。明らかに内向き性格 と外向き性格の違い・・・海に囲まれて外国のものは慎重に歴史と同化させる国と、常に隣 国と接触の中で自分の主張を目指す国、そして国民・・・まあすべての社会現象を見て言え ることです。

いろいろな人と知り合えるという事も重要です。あれだけの時間一緒にいると香港、シンガ ポールの連中ともかなり仲良くなります。ネットワークを広げられる場所として、いろいろな 人に行っていただきたい場所だというのが感想です。

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