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テースティング・レポート

2011/06/20


パラダイス・リッジ、ナガサワ・ヴィンヤード、シャルドネ 2009 Paradise Ridge, Nagasawa Vineyard, Chardonnay 2009

【産地】 米カリフォルニア州ソノマ、ロシアン・リヴァー・ヴァレー
【畑】ナガサワ・ヴィンヤード
【生産者】 パラダイス・リッジ
【品種】 シャルドネ

日系人の悲しき歴史に思いを馳せて!

先日、カリフォルニアワインをなんと一晩で16本あけました。とはいえ、すべては飲みきら ず、試飲のみでしたが、ちょっと面白いワインを発見したので、皆様にもご紹介しようかと。

一見、普通そうにみえるワインですが、なかなか面白いストーリーがあります。面白い、と いってしまうと失礼かもしれません。日系人の悲しい歴史です。

幕末に薩摩藩からイギリスに派遣された視察団の最年少の男の子がいました。長澤鼎 (ながさわかなえ)という名前です。彼は、明治になっても日本には戻らず、アメリカにわた って、ソノマにワイナリーをつくり、大成功を収めました。彼はやがて「カリフォルニアのワイ ン王」と呼ばれ、州内の10大ワイナリーに名を連ねるにいたった。米国内のコンクールで 入賞するなど、さらにその知名度を高めた「Nagasawa」のワインは、最初にイギリスに輸出 されたカリフォルニアワインの中の名誉ある一本となるほど、その勢いがあったといいます。 しかし、その後、外国人土地法の制定でワイナリーを手放すこととなり、日系人のワイン造 りの歴史は終わります。こちらのブログに詳しく書かれていたので、興味ある方はぜひよ んでみてください。

http://blog.livedoor.jp/chiblits/archives/51062774.html

この話はWOWOWのドキュメンタリーでやっていたので、知ってはいました。しかし日系の ワインで、当時それほど有名だったとは知らなかったので、ちょっと驚きですね。日本でも アメリカでも忘れさられそうだったところを、1983年のレーガン大統領の来日の際の公式ス ピーチで取り上げられて、有名になったそうです。しかし、うちにある積読用のワイン本を、 見てみましたが、「Old Napa Valley」というワインの歴史本には、出てきませんし、 「American Vintage」というアメリカのワインの歴史を網羅したと思われる本にも索引を見る 限り、触れられていません。

まあ、イタリア系アメリカ人が主たる担い手である現在のカリフォルニアワインの中では異 端でしょう。でも、2007年にはソノマのかつてぶどう園があったところに彼の名前を冠した 「ナガサワ・パーク」がオープンし、鹿児島にも同様の記念館があるそうです。

彼の一生をドラマにしてみたら?と思いますね。かなり波乱万丈な人生のようです。

さて、問題のワインですが、日本に入っているのはシャルドネのみ。295ケースという少量 生産ですので、ちょっと価格的には高いでが、ストーリーに思いをはせながら飲むワインで す。

以下、テースティングコメントです。

『リッチバランス系。パイナップル、レモンキャンディが前面で、カラメル、古木の香りとフレ ーバー。酸味は中程度で果汁感があるもの。酒質感がリッチ。全体はシンプルで複雑さは あまり感じられないが、フルーツ感を前面に出したスタイルはカリフォルニアらしい。』

参考市販価格

約4,700円

品質

★★★★☆

バリュー

★★★☆☆