テースティング・レポート
第四回デカンター・アジア・ワイン・アウォード
(手前は、中国の醸造学教授で評論家のLi Demei氏。その奥の方にぼんやりと映っているのが、わたしです。)
2015年9月、今年も第四回のデカンター・アジア・ワイン・アウォードの審査員として参加してきました。
今年もデカンター・アジア・アウォードの審査に行ってきました。
今年の出展は2,500近くとの事で、昨年よりも多いとの事でした。日本からの参 加は、田崎さん、石田さん、児嶋さんとわたしの4名。田崎さんは6名の副 チェアマンのうちの一人です。この副チェアには田崎さんやジェラール・バッセなど、 世界一となったソムリエや、マイケル・ヒル・スミスやアンドリュー・ジェフォード、ティエン・ポー・・チェンといったデカンター誌のトップ・コラムニストなど、もの凄いメンツが集まっているワイン審査会です。
チェアマンはステーヴン・スパリエです。審査員の数は、40名程度でしょう か。ですが、4年目の今年、やや少なくなって、さらに何名か入れ替わって いました。ジニー・リーは、自分の雑誌を始めたという事で、デカンターからは外れたようです。今年は、スパリエも、副チェアも一緒になってテイス ティングをしていました。
今回は、2日間参加してきました。2日間参加できたのは、初年度と今年のみでした。
今回はイタリアの地方とシャンパン。アジアワインの赤白とNZのソーヴィニョン・ブランと、ピノ以外の赤ワインを試飲しました。合計で170種類。今回白も多かったので、思ったほどは疲れませんでした。これが南米、オーストラリア、ローヌなどが入ったりすると口が滅茶苦茶になります。タンニンで何を試飲しているのか訳がわからなくなります。
のっけから日本ワインを試飲しました。マスカット・ベイリーとカベルネ・ブ レンド。わたしのパネルは、イギリス人と中国人の二人に、副チェアとしてティエン・ポー・チェンが付きました。結局何らかの賞を受賞したワインはありませんでした。残念ながらわたし以外のジャッジは容赦なかったです。
わたしとしたことが、日本ワインという事で手心を加えたようで、わたしは あるマスカット・ベイリーに銀賞を与えましたが、「酸がシャープすぎる。せいぜい『推奨』」と一蹴されてしまいました。
他のワインも「日本ワインという事で審査するのではなく、カベルネブレンドならボルドーの品質と比較するべきであろう」という事で軒並み「推奨」か「アウト」で終わってしまいました。ポー・チェンも最後には「何で無理してカベルネブレンドなどを造らなければならないんだろう。やめるべきだ。甲州だけでいいのに」と言う始末。
ポー・チェンは、デカンターのシニア・テイスターでもありますので、世界中のワインのテイスティングを行っています。彼は率直な人ですので、そういった遠慮のないコメントが出てきますが、世界中のテイスターは同じように考えているのでしょう。
わたしはどうだったかというと、インドワインには「勝った」と思いましたが、タイには明らかに負けました。中国の多様さにはびっくりしました。リッチでモダンなシャルドネをちゃんと生産しています。赤はカベルネブレンドばかりでしたが、はっきり言って日本より濃縮感のあるワインがコンスタントに生産できている気がしました。中国でワインメーカーをしているのはフランス人やイタリア人ばかりですから、そういうことも関係しているのでしょう。
当然、ここに提出したワインは日本のベストワインではないと言えばその通りですが、中国も、タイも同じ状況だと思います。海外のジャッジがどのように見ているかを目の当たりにした感じでした。
一方でわたしも、文句を言いながらも国産ワインを飲みますので、日本ワインには寛容になっている自分を感じました。
イタリアでテイスティングをしたのは、アブルッツォとラツィオが多かったでしょうか。赤はモンテプルチアーノ、カベルネが多かったです。白はトレッビアーノが多かったと思いますが、ピッコリーノとかのワインも試飲しました。白は全く感動するレベルのものはなかったのですが、赤はやはり充実した内容のものが多かったです。少なくとも青っぽいというものはほとんどないのです。
こうやって日本のワインを世界のワインたちと比較すると歴然と実力の違いがわかります。残念ですがもっと頑張らないと、内弁慶ワインで終わってしまいます。それを改善するための第一歩が原産地呼称だとも思います。
結果は10月5日に発表されました。下の画像からデカンターのサイトに飛びます。
ちなみに今年はエノテカが、11月26日に六本木ヒルズクラブで受賞ワインのテースティングイベントを行います。日本で行われるのは、今年が初めてのイベントです。私も行ってみようと思っています。 10月25日までの先行割引価格3,240円(以降3,780円)ということです。興味のある方は、ぜひ行ってみてください。チケットは以下のサイトから買えます。
エノテカのサイトでは「デキャンタ(デカンターではでてきません)」で検索するか、左の「イベントチケット」をクリックすると出てきます。