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テースティング・レポート

2013/03/10


シャトー・ラネッサン 1953
Chateau L'anessan 1953

【産地】フランス、メドック
【生産者】 シャトー・ラネッサン
【品種】 カベルネ・ソーヴィニョン主体


オールド・ボルドーの長命さを感じる

ワイン学校の生徒さんが「内緒のいきさつ」でもってこられ、他の生徒さんと一緒にいただいたワイン。 1953年という年は、マイケル・ブロードベントは「お気に入りのヴィンテージのひと つ。高い芳香とフィネスと魅力とが一体になったもので、最上の場合はクラレットの 良さの典型的なもの」としているようで、1950年代では53年と59年のみが、まだ市 場に残っています。

ラネッサンというと、ボルドーの中では痩せていて渋く、酸っぱく、若いうちはとり つくしまのない、いわばどうしようもないワインです。エノテカでも、デパート、レ ストランでも手に入るワインですが、実はわたしは自分では絶対にのまないワインで す。なんでこんなワインを売るのか?と怒りを覚えるほどの、飲んだら常にハズレの ワイン。ところがどっこい今回のワインは・・・という驚きのワインでした。

昔と今はこのワイン造りの規模が全く違います。今は135ヘクタールの畑、かつては 2ヘクタールから始まった零細ワイナリー。以前のラネッサンは、有名コミューンに 入っていないただのメドック(今はオー・メドック)ながらも、別格の評価を受けて いたワインで、その為にブドウ園、とワイナリーを拡大するための資金を得る事が出 来たわけでした。

大規模生産をするようになったのがいつなのかは詳しくは知りませんが、以前の評価 のワインと同じワインではないのではないかと思っています。生産量は、特級格付け ワインと変わらない200,000本程度ですが、まともなワインを造っているとは思えま せん。わたしが飲み始めたのが80年代中盤からですから、少なくともそのあたりから まともなラネッサンを飲んだ事がありませんでした。しかしこれは違いました。

以下、私のテースティングコメントです。

『多少酸化した風味は出ているものの、ボディは十分にリッチで、トリュフ、熟成黒 果実、ドライプラム、ダストなど、全くやつれた感じもない。タンニンがリッチで細 かく、ビロードのテクスチャをもたらすもので、かつてのラネッサンが高い評価を受 けていた事がこのワインではっきりと理解できる。余韻も長く、時間をおいて酸化香 が薄まると、ゴージャスささえも漂わせるワインで、このワインに巡り合えたのがラ ッキーだったとしか思えない。』


参考市販価格

????(現行ヴィンテージは3500円程度)

品質

★★★★★

バリュー

多分★★★★★