Topics&Columns (2004年6月7日)    

 

 ドクター・アラン・レイノー来日速報

ドクター・アラン・レイノー。今をときめく新生シャトー・パヴィ、パヴィ・デセスなどの立役者であり、シャトー・キノ・ランクロ、ド・ローサック、ラ・フルール・ド・ゲ、ラ・クロワ・ド・ゲなどのオーナーです。ドクターの手は、マジックハンドと呼ばれています。

5年ぶりの来日です。6月1日に一緒に食事をした際の会話の中からです。いろいろなことを聞いてみましたので、ご参考にしていただければと思います。過去に伝えられていた情報は、ずいぶん変わっていました。皆さんびっくりするかもしれませんが・・・。

【シャトー・パヴィのジェラール・ペルス氏との関係について】
2000年以降切れました。彼はあまりに商業主義的です。価格を急速に上げるのはよくないというアドバイスはしたのですが、聞き入れてくれませんでした。残念ですが、方向性が合いませんでした。今は、関与していません。

【「AOCE案」について】
(かつてのグランクリュ組合の会長としてどうでしょうと、コメントを求めたところ)これまででもっともクレイジーなアイデアですよ、何もよいことはないでしょう。消費者は混乱するだけでね。

【熟した状態で収穫するということ】
熟した状態とは、果実を食したときに栗の味わいが出てきたときです。そのときに収穫すればいいのです。それ以前では、早すぎる。その後では若干過熟気味です。早熟のブドウを収穫すると、発酵中にねぎのようなフレーバーが出てきます。そしてワインにはグリーンな感じが残る。(ワインコンサルタントのXXXX・XXXさんは、過熟ぎみが好きなようですがと振ると)過熟した状態で収穫する必要はありません。テロワールの特徴が崩れてしまいます。

【レイノーメソッドとは?】
熟成中に、装置を使ってタルを回すという手法です。バトナージュは、バクテリアが繁殖する可能性がありますので、あまり好ましくないです。シャンパンのルミアージュと同じ考え方です。ゆっくりと酵母となじませることができるのです。これを改めて話すのは初めてです。

【「ラブソリュー」というワインについて教えてください】
キノと全く同じ、生産地、生産者、つまりわたしですが、生産方法が異なります。レイノー・メソッドではありません。(すでに2002年は、スペクテータ、タンザーなどからは高い評価を受けています)このワインのプロデュースをしているオリエルという会社は非常にユニークです(早速、コンタクト中です)。

【キノ・ランクロのセカンドについて】
キノは、100%新ダルですが、セカンドは100%一年落ちのタルです。フィネスとは言わないが、エレガンスを持たせたものです。タルのタンニンも抑えられています。

【ビオ・ディナミについて】
ビオ・ディナミは、注意すべきですね。目指すところ、すなわちテロワールを表現させるというポイントは同じだと思うのですが、適正に「医者の役割」が必要なのです。あとは熟成の問題があります。たとえば、ローヌのXXXXXXX社のワインですが、ビオで造られたワインは、7年も経過すると死んでしまっていました。

【コルギン、そしてラスコンブ】
カリフォルニアのコルギンは、以前ヘレンターリーがやってましたが、より複雑感のあるワインを生産したいとのことで、わたしのところに依頼が来ました。年3回ぐらいは行っています。(私もずいぶんとスタイルが変わったと思っていました、とコメントした)ラスコンブも、より充実してきたと思います。

【AOCコリウールについて】
わたしが、ラ・カーヴ・ド・ラベ・ル(今回プロモーションで持ってきたワイン)でやっていることは、収穫量を減らし、生産量を減らし、適度な状況でブドウを収穫し、そしてプレミアムクラスにはレイノーメソッドを使うというものです。元々ここのブドウは、ローマ時代からあった、非常に荒い土地の上に出来上がった畑とも似つかぬところに繁殖しているブドウであり、そして地形の複雑さも手伝って根の深さも20mを超えています。すなわち非常に力のあるブドウたちです。ここに適度の手を入れれば、非常にすばらしいものができるのです。

【健康とワインについて】
これは自分自身の課題である。というのも医者であっという事実がある。そこでその課題は、キャップシールのブドウとヘビの絵に表している。さらにボトルにも同じ絵を彫りこんであるのです。ヘビというのは、欧米では医学をあらわすものです。

【目指すワインのスタイル】
エレガンスとフィネスをもったワインが目指すワインです。

【デックファイブについて】
はっきり言って、すごいコンセプトであり、使われている技術はなんと言うのか知らないが、ブレイクスルー技術です。これはフランスで流行るはずです。どうして早々にフランスに来ないのですか。(答えに窮した筆者でした)

ということで、デックファイブで3時間ほど、エージェントのニコル・ドラージュさん、とラ・カーヴ・ド・ラベ・ルの輸出ディレクターのウラディミル・アルギン氏、それに中島董の布施さんを交えていろいろな話をさせていただきました。

試したワインは、次のとおり。

  • キノ・ランクロ 2002ハーフ: 1週間前にボトリングしたばかりのもの。「まだ時差ぼけがあるかな」というドクターの言葉をよそに、わたしは「タルがつよいなあ」と思う。酸味は強く、タンニンはドライではなくソフトである。強い黒果実、ハーブ、土、バニラのアロマとフレーバー。時間が経つと、カベルネが頭をもたげてジューシー感をかもし出すが、やや硬くなった。はっきり言ってまだ若い。
  • ラフルール・ド・キノ 1999: キノ・ランクロのセカンド、造り方が違うのみ。タルが異なる。酸味は強い。タンニンはエレンガントさとフィネスがより感じられるワイン。すでに熟成が始まった感じで非常に複雑であり、時間が経つとカベルネ・フランのジューシーさとハーブが出てくる。クラシックで、きわめて優れたワイン。
  • シルセ 2002、AOCコリウール: ドクターのイニシャル「AR」とラベルに入ったワイン。抜栓時は、シャトー・ヌフ・ド・パプのアロマに、タルの強い甘いブルゴーニュの味わいとフレーバーを感じる。途中でボルドーともローヌとも取れるような、きわめてタルが強く濃縮した味わいとなる。2時間経って落ち着いた味わいは、タルの香りが納まり、濃縮感を残し、しっかりとしたハービーさを持つシャトー・ヌフ・ド・パプという感じになった。セパージュは・・・・・・・・。酸味は弱い。タンニンはすでにソフトで、今でも凝縮した味わいを楽しめるが、ミネラルが強く、とてつもないポテンシャルのワインと見た。 
  • エリオス 2002、AOCバニュルス: 珍しくアルコール度数が16%強程度のもの。シェリーを使わずオー・ド・ヴィーを使う。パワフルながら洗練されたフレッシュでフローラルな果実感が印象的なワイン。複雑な濃縮感が「ワオ」と言わしめる。濃縮した果実味は持ちながらも、重たくなく軽い甘さで、新鮮さも併せ持ったバニュルスということで非常に印象がよい。酸味はない。

ラフルール・ド・キノ 1999
シルセ 2002、
AOCコリウール
エリオス 2002、
AOCバニュルス

インポーター
日貿商事、03-3256-7551
インポーター未決定(今回のプロモーションアイテム)

今回の来日では、田崎真也さんもインタビューしていますのでヴィノテークにフルレポートされると思います。(H)

  新・新世界ワインの話題をいくつか

タイトルは間違ってません。まずはイスラエルから。HAARETZドットコムのワインライターのダニエル・ロゴフによる評論です。

【要約】
カズリンKatzrinは、1990年が初めてのリリースだった。彼らは、非常にいい年しか発売しない。これまで1990年のほか1993年と1996年にしか発売してこなかった。今回2002年の赤、そして2002年シャルドネが発売された。

2000赤はボルドースタイルで、89%カベルネ、9%メルロー、そして2%のフランである。非常に濃く、熟していて太く、濃縮していてかつエレガント。若いがタンニンがストラクチャーをつくり将来が楽しみ。2002年シャルドネは、フルボディで、凝縮し、複雑だ。フレンチオークを使用し、7ヶ月間タル熟成した。オレンジ、グレープ・フルーツ、熟した梨、パッション・フルーツなどのフレーバーが層を成し、ヘーゼルナッツ、ミネラル、バニラ、スモークなどが加わる。

赤は、およそ65ドル、シャルドネは20ドル程度である。ティニャネロ(アンティノリ)、RWTシラーズ(ペンフォールズ)、ムートンなどと比肩する品質である。
【要約終わり】

本当であるならすごいですね。試さないとなんともいえませんが。イスラエルの生産地はゴラン高原です。イスラエルのワインではヤルデンはおなじみです。次は、ニューメキシコ、アメリカではありますが・・・。

【要約】
ニュー・メキシコの高地砂漠気候は、日中は暖かく、夜間は冷涼となる。あと水さえ確保できるならば、この気候は実は、ブドウ栽培には完璧である。リオ・グランデでは、かなり以前からワインを生産し続けている。最初の接木の到着は、モニカ種であったといわれる。モニカ種は現在でも栽培が続けられている。持ち込まれたのは当然ヨーロッパからの移民の手によるが、1629年である。カリフォルニアの1769年と比較すると140年も古い。しかしフィロキセラのために1920年までにはニュー・メキシコのワイン産業は壊滅した。しかし現在、19のワイナリーがさまざまなスタイルのワインを生産している。
【要約終わり】

これは、6月1日のデトロイト・フリー・プレスのクリス・カッセルが書いていたものです。次は、ザグレブから。

【要約】
ザグレブの近くベデコヴィシナで開催されたワイン競技会でイヴァン・セルマックのミュスカが優勝した。100を超える出展の中から選出されたものである。セルマックはクロアチア戦争で、戦犯とみなされて国連から告発されていたが、セルマックは3月に自ら罪を認めた。54歳のセルマックは、近年ザゴルジュでブドウ畑を運営し、家畜を育てるというひっそりとした暮らしを送っていた。
【要約終わり】

このトピックは、5月31日のニューズ・ドットコムからでした。ザグレブには100ものワイナリーがあるのですね。そしていろいろな人がワインを造っている。いろいろな生活と社会に根ざしているのです。そしてもうひとつ、アメリカ、バージニア州から。

【要約】
300あまりのエントリーワインの中から、キング・ファミリーの2002年マイケル・シャップ・カベルネ・フランが2004年ガバナーズ・カップ賞を受賞した。バージニアでは、近年ワイン産業が拡大しており、ワイナリーの数は、1979年には6、1994年には43、そして今日は85存在する。ブドウ栽培農家は250である。

ワインメーカーのマイケル・シャップは、東海岸では最も注目を浴びる人物の一人。
【要約終わり】

この話題は、バージニア州ワイン・マーケティング事務局から。いろいろなところに、いろいろな話題があります。最後になんと、イギリスからも、ワイナリー観光ビジネスが盛んになりつつあるという記事もありました。もう世界中でワインを造っているのですよ。

「大したワインはできないさ」って思いますか?わたしはそうは思わないですね。(H)

  メダルに注意!!!!!!!

オーストラリアの話題です。5月30日付ニューズ・インタラクティブから。

【要約】
ワイン愛好家は、「受賞」ワインには注意が必要すべきだ。過剰な数の金賞、銀賞、銅賞ワインが存在する。業界筋は、メダルとか受賞経験の表示は、消費者に対して、中身以上のものに見せるためのマーケティングツールであると認める。

ザ・サンデー・メイルは、何年にもわたって「金賞」経験を使う会社を突きとめた。会社のモットーが、ワイナリー・オブ・ジ・イヤーであることなのだ。業界筋によると、パッケージングに対して与えられた賞をあたかもワインに与えられたかのように表示しているという。実際には、中身は賞が授与されたワインではないかもしれないのである。

ASVO(Australian Society of Viticulture and Oenology)には、ラベルとワインショーの問題について検討する委員会がある。7月には、メダルの利用とワインの判定方法の仕方について再検討することをリコメンドすることになっている。具体的には、標準化された投票方法、厳格な監査、サンプルワインの使用禁止などが盛り込まれる。

テイラー・ワインのミッチェル・テイラー社長は、「テイラーでは、ボトルの中身は受賞した時のワインです。しかし、他のワイナリーの中には、小さなワインショーとか、「メイド・イン・オーストラリア」と書いてあったりとか、基本的に自己授与のようなメダルも目にします。急いでいる人などは、受賞ワインだと思うでしょうし、だましですね。消費者はごまかされている。」

ブリスベーンにあるクリュ・バーのトニー・ハーパー氏は「ばかげてますよ」という。

「実験してみたんですよ。ただ単に金のシールを張ってみたんです。早く売れてしまいましたね。ワインショーというのは、生産者が、他の競合に対して自らのレベルをチェックするためにできたものです。生産者にはそういう重要な機能があった。しかしいまや悪用されていたりして、消費者を必ずしもガイドしていないのです。」

パディントン・タヴァーンのグレン・ダービッジ氏は、消費者は混乱しているとし、「銅賞だからといって、第3位というわけではないですからね。賞を取るためには何点取得すればよいというだけであって、ひとつの賞に20のワインが該当することだってあるわけですよ。全部のワインが何らかの賞を受賞することだってある。トロフィーを受賞したワインだけが、『ベスト』なのです」

委員会の委員長であるニック・バレイド氏は「大部分は、受賞ワインは一定した品質になるべく管理しているのですが、システムは完全ではないです。」
【要約終わり】

オーストラリアのワインについての記事ですが、気をつけなくてはならないのは、必ずしもオーストラリアだけではないですね。(H)

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