Topics&Columns(2004年5月12日)

 

ワインにコ○○ン

アルゼンチンのマロンで、イギリス人2名、ユーゴスラヴィア人が2名、そして1名のアルゼンチン人が逮捕されました。マロンの倉庫に440ポンドのコカインと約10000本のワインのボトルが発見されたものです。警察によれば、200グラムと250グラムづつの量のコカインをワインに溶かしこんでイギリスとスペインに輸出するという計画であった模様です。

これはUPI電として、ワシントンタイムズ.コムが5月1日に伝えていたもの。まさにこんな話で、小説が出来るのではなかろうかと考えていた矢先のニュースでしたので驚きました。実際にやる人がいるものです。

調べてみますと、実は「コカワイン」というのが販売されていたことがあったのです。1863年にアンジェロ・マリアーニというイタリアの化学者が、コカインをワインに溶かして「ヴィン・マリアーニ」という名で販売したのです。これがアメリカにわたり、ジョン・S・ペンバートという人物が、まねて事業化しましたが、アトランタでアルコール販売が禁止されたのをきっかけにアルコールなしのコカ・トニックを開発したのです。このトニックが「コカ・コーラ」というわけ。当然後にコカインは除かれます。コーラの生みの親はイタリア人だったのです。しかもワインが絡んでいたとは!


「疲れた心とからだに」という文字が書かれています。この写真は
http://www.historyhouse.com/in_history/cocaine/から拝借したものです。1990年のシアーズ・ローバック社のカタログからと書かれていますから、結構流通量もあったものと思われます。過去にはコカインがどういう作用をするかわからないまま使われた時代があったのですね。しかしコンニチ!こういうことをするのは絶対にできません。間違いなく手錠がかけられます。(H)

ドルーアン、テースティング・ルーム新規オープン(アメリカ)

こちらのドルーアンはオレゴンのウィラメット・バレーにある方です。5月28日に新規オープンするそうです。いままでなかったのか、リニューアルなのか。アポイントが必要なようですがプライベート・ツアーもあるそうです。ロレーヌLaureneは、日本でも販売されていて美味しいですが、ルイーズLouiseはワイナリーでしか買えません。ぜひ訪ねていかれては?2001年のルイーズは5月29日に発売開始、ローレーヌは9月1日に発売開始予定です。

そういえば5月18日に東京でオレゴンの造り手が品評会をやります。オレゴンワインも結構入ってくるようになりました。要は値段です。消費者のバリュー感に合うかどうかです。ドルーアンのワインは、バリューが高いと思います。アメリカで買えばですが。(H)

シュラムズバーグのカベルネはいかが?(アメリカ)

シュラムズバーグといえば、カリフォルニアを代表するスパークリングワインとして知られています。大統領晩餐会には必ず出品され、日本の天皇陛下も、歴代の首相も味わったことがあるというスパークリングです。それほど由緒あるスパークリングの生産者ですが、そこからダイヤモンド・マウンテンAVAで「J・ダヴィーズ」というカベルネがデビューするそうです。知りませんでした。

64年の設立以来、スパークリングのみを造ってきました。私の訳書「カリフォルニアワイン物語ナパ」で、最初に登場するのが、このシュラムズバーグの話です。シュラムズバーグといえば、他のワイナリーと差別化するためにスパークリングワインに特化し、それをこれまで40年間守ってきました。

90年代に入ってから、いろいろと実験をしてきていたようですが、「カベルネに適していたというのは知ってたのよ。だからいいことよ」と言うのは、創設者ジャック・ダヴィーズの妻のジェイミーです。ジャックは1998年に他界しました。

この記事のもとになっているスペクテーターのジェームズ・ローブは、このワインには88ポイントをつけていて「なめらかで、筋肉質で。すばらしいバランスと、カラントとブラックベリーとラズベリーのフルーツが層をなしている」とコメントしてます。

飲んでみたいです。こういう由緒正しい造り手が、新たなものにチャレンジする姿勢というのは非常に好きです。ワイン以上に。ワインを造っている人が好きなんです。(H)

B&B&Wというのは何だ?(フランス)

B&Bというのは、ベッド&ブレックファスト、つまり「宿」のことですが、それにワインwineが合体しました。

【要約】

「ベッド・ブレックファスト・アンド・ワイン」−問題を抱えたフランス観光業とワイン業界を何とかてこ入れするため、ワインラバーの人々が、警察の酒気検査を恐れることなくワインの試飲が出来て、かつのワインの専門家であるオーナーがもてなしてくれる−そういう場所がある。

プロヴァンスは新参者だ。アクサンプロヴァンスから、畝る田舎道に沿って10分程度で、18ヘクタールのブドウ畑に囲まれたDomaine de La Brillaneに行くことができる。細長く低層の建物は、ワイナリーとオーナーが住む屋敷もかねている。ここに訪問者のために5つのベッドルームが用意されているのだ。

何とこの建物は2002年に出来たものだ。赤と黄色の野ざらしの入り口に、低い野木が茂る。セザンヌの光景と伝統のエレガンスとがブレンドしている。

「お客様は皆さんブドウ畑で過ごされ、ワイン造りの情熱に感心していますよ」と語るのはロンドン生まれのオーナー醸造家のラパート・バーチ氏。そしてベルギー生まれのワインメーカーであるメアリー・マーテンズ女史が、4年間で生産量をメジャーレベルにすべく、ヘルプしてきた。

44歳のバーチ氏は、インベストメント・バンカーから足を洗って、5万本のブドウの木を買うことにした人間だ。「金融業界では2+2=4ですが、ワインメーキングでは、3だったり、5だったり、6だったり。そして全部やらなきゃならない−栽培、醸造、販売、そしてフランスの官僚主義との戦い、をね」と語る。しかし幸いにも、彼の2001年は非常に良い年で、35000本を生産した。

しかし新参者を襲ったのは、最も湿った年、続いて灼熱の年であった。それをなんとか乗り越えた。メアリーは語る。「わたしの両親は、ベドアンにコート・デュ・ヴォントゥーの畑を持ってます。4年前に父が亡くなったて以来、母と運営してきました。それを手放してラパートのところにしました。」

「ボトルを一本買ってくれた人が、もう一本欲しいと言ってくれる時の喜びといったらこれ以上のものはないです」。従業員のキッチンを通り抜けると、訪問者はすぐにワイナリーの一部を体感できる。ゲストルームはマーテンズのコーディネートだ。それぞれの部屋はブドウの名がついていて、ベトナムやカンボジアから持ち帰ったオブジェがしつらえてあって、そしてベッドカバーはモロッコから持ち帰ったものだ。

訪問者は、ソフトなシーツにくるまってぼんやりと目を覚ますと、そこには、ブドウ畑からセザンヌのモンターニュ・セント・ヴェトアールの光景が見渡せる。バーチはいつも6時半に起きて、温かいクロワッサンと、クリスピーな焼きたてのパンを持ってきてくれる。「いつ来ても、何かがありますよ。ここを訪れる人にはね。このワインがいいとか、あれがいいとかあるのでしょうが、グラスの中にどんな工程で出来たものが注ぎ込まれるのかは知る由もないでしょう。でもここでは何でも紹介できます。」

ここを楽しむコースは50ユーロからある。これは半日コースだ。もっと楽しみたいなら100ユーロの一日コースもある、そして収穫まで一緒に楽しめる200ユーロのコースもある。ラ・ブリアンは、マルセイユ空港から車で20分、TGVなら15分。カシの海岸からは30分の距離だ。

場所は次の通り。

Domaine de La Brillane
住所: 195 Route de Couteron, 13100 Aix-en-Provence;
電話: 04-42-54-21-44
e-mail: domaine@labrillane.com; www.labrillane.com

【要約終わり】

5月7日付けヘラルド・トリビューンからでした。(H)

ワイン・シッピング詐欺(南ア)

ボーランドのワイナリーから、ワイン23000ランド分(約37万円相当)がだまし取られました。

【要約】

「パーシー・クマロという男が電話をしてきて、ワインをオーダーしたのです、最も高価なワインをね。「ブクタ酒問屋」という会社だといいました。わたしは初めての問屋とは現金でしかやらないのだと言ったのです」とサウス・アフリカン・バルク・ワイナリーのガーハード・スミス氏。

その男は、同じ日のうちに23000ランドの現金預金証をファックスで送ってきたという。「われわれは銀行に確認したわけですよ、預金が確実かどうか。そしたら確実だということになった。それで配送の手配をしたわけです。ドライバーは最初指示のあった住所を見つけることが出来なかったのですが、すぐにビルの正面に立っていた男を発見したのです。でワインをトラックから別のバンに乗せ代えたのです。」

スミス氏の所に銀行から電話があり、預けられた小切手が不渡りになったということがわかった。ファックスされた預金証はニセモノであったこともわかった。

「絶対にプロの仕業ですよ。絶対に何をやっているかわかってます。他のワイナリーも警戒しておくべきです。」とスミス氏。

ステレンボッシュのムラティエ・ワイン・ファームでも妖しげな事件があった。「うちのフラッグシップワインであるアンセーラ・ヴァン・デル・カーブのオーダーがファックスで入ってきました。ファックスに記載のあったクレジッドカードの番号を調べてみると、注文票にあった名と違う人のものだったのです。」と語るのはリック・メルク氏である。

【要約終わり】

これは5月7日付けケープ・タイムズからでした。ワインが供給過剰で売れなくなったときが心配。(H)

クリュ・ブルジョワになるぞ!(フランス)

【要約】

メドックのクリュ・ブルジョワの再格付けは2003年6月に発表されて以来、様々な議論を呼んでいる。490シャトーのうち、247がCru Bourgeois Exceptionnel (9), Cru Bourgeois Superieur (87) 、Cru Bourgeois (151)という具合に格付けされた。

この中にシャトー・プルイヤックは入りませんでした。ネゴシアンであるイヴォン・モー氏が所有するシャトーである。不当に格下げされたと感じて、委員の決定に不服を申し立てを行った。内容は、委員会にえこひいきがあったということと、1994年から1999年のワインしかみておらず、イヴォン・モーが所有してからのヴィンテージを判断の対象にいれていないというものである。

判定委員達は、プルイヤックの判定がルールにのってっていなかったとして、再判定が行われることを決定した。

「最初の委員の中には、クリュ・ブルジョワのオーナー達も入っていたので、利害が複雑に絡んでいたと思いますね」とは、プルイヤックのスポークスマンの話である。

【要約終わり】

5月6日付けデカンターからでした。利害が絡むでしょうよ、そりゃ。裁判の陪審員に当事者が入ってどうする?!(H)

管理者の戯言−ワインとは全然関係ありません

連休の5月2日にN響アワーをみまして、えらく感動をしてしまいました。指揮がスクロヴァチェフスキで、ベートーベンの第5交響曲、俗称「運命」をやってました。これは行きたかったですねぇ。4月の読売日本交響楽団のベートーベン第7とマーラーの第1という組み合わせのコンサートも逃したことも悔やまれます。といっても、クラシックに興味のない人にはどうでも良いことですが。

で、スクロヴァチェフスキはやはりすごいですね。テンポが早い。よほど音楽に自信がなければベートーベンのテンポの緩い楽章をあそこまで早く出来ないでしょう。完全にダンス音楽という感じでした。

肝心の第5ですが、あのテンポは、わたしにとっては指揮者がティーレマンで、オーケストラがシカゴ交響楽団という組み合わせ以来でした。「疾風怒涛」という言葉がぴったりで、くだらないロマンチシズムはかなぐり捨てて、緊張溢れる本質だけ聞かすという感じ。しかし最近の日本のオーケストラもすごいです。ぴたっとテンポをあわせる。多少の暴れは、ライブならではで、一層の臨場感と躍動感があっていいくらいです。本当はもっと重厚さが伝わればいいのですが。

このライブは、団員もかなりのってました。クラシックの演奏家が「のる」というのは、やはりからだの動きを見ればわかります。前後左右に動きます、音楽にあわせて。あと多分コンサートマスターの堀さんか、この演奏会ではトップサイドに座っていた篠崎さんか、どちらかが第4楽章に入ったところで弦を切ってしまい、バイオリンを次々に交換していく姿が映っていました。その後すぐは、第一バイオリンの音量が落ちたのです。そこが残念といえば残念でしたが、それほどに力がはっていたということですね。

このような名演奏は、何十回、何百回聞いたかわからないベートーベンの第5交響曲でも生まれるんですよね。だからクラシックはやめられない。作曲家と、指揮者とオーケストラが一体となって、時として生まれる奇跡的な名演というものがあるものです。そう考えるとどこかワインと通じるところがあります(ようやくワインに辿り着きました)。

いつも美味いものを造ってくれなくても、すばらしいワインを、数年に一度でも味わわせてくれれば、それが楽しいワインの体験ともなります。ブドウは曲で、指揮者は生産者、オーケストラはそれを支える人々や環境。三位一体となったときにすばらしい(ワインが生まれると思います。(H)

ご意見、質問、要望、苦情は、hm@barriqueville.comまで。