Topics&Columns(2001年11月11日)

山本博さんが「カリフォルニア物語 ナパ」の書評を週刊ポストに載せてくださいました。「・・・劇的=ドラマチック。これは、ワインではなく、人間を味わう本である。ノンフィクションの方が小説より面白い絶好の例。」と書いていただきました。私どもの意図を100%裏書していただいた、これ以上にはない評論をいただいたと思っています。山本さん、有難うございました。

2001年収穫レポート

ジャスト・ドリンク・ドットコムの収穫レポートからお送りします。

要約:

【シャンパーニュ】
9月に入って3週間連続の雨天。季節外れの低い気温が続いた。さらに収穫が始まってからも雨天に見舞われた。殆どのブドウは糖度が低く貧弱だった。病気もひどかったため、出来の良かったブドウだけを選抜しなければならなかった。CVIC(Interprofessionnel du Vin de Champagne)ではヘクタール当たり1.1トンの歩留まりを予想している。

ピノ・ノワールが最もひどかった。とくにモンターニュ・ド・ランス南部のブージー、アンボネー、メリ周辺のブドウがひどかった。

糖度が低かったために、収穫が開始されたのは9月28日だった。状況が回復するのを待ったためだ。確かにわずかに持ち直したものの、9月26日と10月2日にまたしても大雨にやられてしまった。ブージーではそれぞれ18mmと32mmの大雨にやられた。CIVCは、マストのアルコール度数は8.5から9度程度になるとも語っている。通常よりはるかに低い糖度である。

モエ・シャンドンのチーフ・ワインメーカーであるジョルシュ・ブランクは「恵まれない天候だったため、平均アルコール度は8.5です。ジュースは透明で、変な味はないですが。モンターニュ・ド・ランス南部では未熟でかつ腐敗したブドウが広がっていましたよ。」とその惨状を語っている。

アペラシオン西武のシャトー・ティエリー、南部のコート・デ・バールは収穫中の天候は割りと良い方だった。ウルヴィルのミシェル・ドラピエールは「ちょうど収穫の直前に腐敗が急に進んでしまったのです。そのため全体の25%は収穫することは出来ませんでした。それでも収穫するだけのブドウはあった。ワインのアルコール度数は多分9.2%程度になるでしょう。しかしマストそのものは8.7%程度でしたがね。ムニエは熟成してました。ピノ・ノワールは概して平均以下の出来。シャルドネは青っぽいブドウでしたよ。だれもヴィンテージワインなど造らないでしょうね」

【ブルゴーニュ】
「良いワインは畑で造られる」というまさにそういう年だった。一瞬たりともブドウから目が離せない、良い造り手でさえもタイミングをはずしかねない、そういうヴィンテージだった。

8月中旬までブルゴーニュ中ではっきりしない天候が続いた。湿度がたかく温暖という天候は、まさに病気を招くに最高の状態を作り出した。栽培者達は葉や房を切り落とし、スプレーを積極的に撒き、足しげく畑に通った。ようやく8月14日から9月初旬にかけて太陽が戻った。しかしこれが過ぎると雨がもどり、10月の第一週まで収穫を待ったコートドールの造り手達の手元には、腐敗したブドウが残っただけだった。

ここでは天候は平等であった。ピノ・ノワールもシャルドネもひどいものとなった。BIVBのデータでは今年の収穫は2000年よりも落ちる模様で、シャブリでおよを10%、マコネーとコート・シャロネーズでシャルドネが9%、ピノ・ノワールは14%の減産であるとのこと。

しかしブルゴーニュの腐敗したブドウの木々が立ち並んだ畑の状況を良く知るバイヤーや代理店にとっては意外な数字かもしれない。今年は難しい年となった。

【ロワール】
ロワール西部の地区では、ミュスカデの生産量は通常よりは少なめであったものの、2001年はスムーズな年だった。

中央から上流にかけての地区は湿った冬、霜やひょうに襲われた春といった天候のあと、5月、6月、7月まで良い天候が続き、このまま行くのかと思われた。しかし8月中旬になってやはり湿度の高い気候に見舞われた。

ここでも頻繁にスプレーを噴霧し、木々は刈り込んで、24時間寝ずの番をする必要があった。生産者達はいつも通りの夏休みを取ったが、戻ってみると病気にやられて腐敗したブドウの出迎えを受けることになった。サンセールとプイ・フメなど人気のある地域はひどい状況だった。その後9月に日照がもどったが、10月あたまにかけて弱っていった。生産者の中には、黒々としたコットやフランを収穫できた生産者もあったが、全体としては非常に注意深く選ぶ必要があるだろう。

10月19日までは甘口ワイン用の遅摘みブドウにとっては非常によい環境だった。朝には霧がかかり、昼間は十分な陽が射した。コトー・デュ・レイヨンの生産者であるフィリップ・キャディは非常に期待をしているという。今年のロワールはミュスカデと甘口ワインがよさそうだ。

【ボルドー】
グラン・クリュ・ユニオンのマルク・ギローは「われわれは非常にラッキーだった。簡単な道のりではなかった」と語る。

冬季を通じて降った降雨量は750mmにも及んだ。このお陰で水位が上がり、土中のブドウの根は殆ど洪水状況だった。春になって太陽がもどっても、冬季の雨のお陰で生長は遅れた。5月になって状況は良くなった。強い日照のお陰で開花の時期には成長は通常通りとなった。しかしその後天候は曇りがちとなり、8月15日まで続いた冷夏のために2001年のヴィンテージはひどいことになると予想された。

しかしその後には暑い夏が訪れ9月17日まで続いた。ソーヴィニョン・ブランとセミヨンは素晴らしい酸味と糖度を兼ね備えた状態で収穫が出来たのだ。ペサック・レオニャンとグラーブの造り手たちは、今年は良い年か、それ以上の年になるだろうと期待している。

10月19日までには殆どのブドウの収穫は終わった。黒ブドウの収穫量は少なめである。というのはやはり湿度を嫌ったため、歩留まりを抑えたためだ。しかし10月第2週まで収穫をこらえた生産者達は、酸度も糖度(予想アルコール度数13程度)も極めてよい状態で収穫できた。

甘口ワインは良いワインになるであろうと予想される。シャトーディケムのレポートでは、今年のブドウは、質、量ともまれにみるできであったという。

以上要約終わり:(H)

ポイントをプロモーションに使うということ

アメリカの二つのスーパー、アルバートソンズとセイフウェイは、司法当局から店舗に陳列するワイン情報の不当表示の疑いをかけられました。2社ともそれを認めることなく30000ドルづつの金を支払い、公正な表示を行なっていくことを報告しました。11月2日付のワインスペクテータが伝えたものです。

2社とも、シェルフトーカー(棚横につけるカード)、ネッカー(ワインの首にぶら下げるカード)で、ワインスペクテーターのポイントを表示していました。しかしワインとそのカードの内容とが食い違っていることが少なくなかったというものです。ヴィンテージが異なっているものだったり、品種が別のものであったりしたのです。

2社ともすぐにこれを改めるアクションを取り始めましたが、これらはもともと、ワイナリーや一次卸がつくるものを最終卸がワインにつけていくものです。したがってスーパーでは「店がわざとやっているものではない」といっています。スーパーでは店舗のワーカー達がそれは出来ないのです。一方の司法当局は「意図は関係ない。要は誤解を招くもの。ゆえに違法。」としているようです。

良くある話だとは思います。

ちょっと脱線しますが、確かにこのプロモーションは効果があるでしょう。ワインの消費者の大半がワインの中身が分からないで買っているのですから点数に従って買うのは当たり前です。しかし、先週のトピックでもティム・アトキンとジェフ・モーガンの討論をご紹介しましたが、これらはあくまでコンシューマー向けのガイドであって、生産者が使うようになると情けないですよね。(H)

またしても意味不明DOCの動き

「DOCトスカナ」を作りましょうという新たな動きがあります。農務省のこの発表の背後で動いたのはアンティノリ、フレスコバルディ、それにフォロナーリです。「ACボルドーと同じような意味付け。認知度の低い地域の知名度向上に役立つ」とピエロ・アンティノリと言っています。

無論、反対意見を述べる人は少なくありません。「絶対に反対する。われわれが39のDOC、5つのDOCG,それに5つのIGTを持っている理由を考えてみてください。ワインを地域、品種、マイクロクライメット、土壌によって区分するためです」というのはキャンティ・クラシコ生産者協会会長のジュセッペ・リベラトーレです。さらにフォンテルトーリのオーナーのフィリッポ・マッセイは「なんでトスカナDOCなど必要なのか分からない。すでにトスカナIGTがあるのに」。また「新たなジェネリックな呼称が導入されるのは消費者の誤解を招くことになるでしょう」コレングンゴのトニ・ロッカは述べています。

バディア・コントリブオーノのエマヌエラ・プリネッティは「このような策は後のことを考えないで、がっぽりと金を稼いでやろうという大手の考えたことですよ」とストレートな口調です。こういう非難がある一方で、しかしフレスコバルディの方は「トスカナのためになって品質向上が期待できる場合に協力する」と述べています。フォロナーリサイドは「トスカナの全地域で良いワインを生産している。トスカナ全体のイメージを高めることになるだろう」としています。

これは11月5日付けのデカンター・オンラインからですが「こりないイタリア人」という感じがします。何を考えているか全く分かりません。新たな仕事を作って失業者対策か?(H)

 

シャンパーニュの環境問題に取り組む

CIVCは、今年1月に200ページわたる「配慮ある栽培のための実践ガイド」を発行しました。この中には、環境汚染をすることなくブドウを栽培するためにはどうするかということが事細かにかかれているようです―硫酸銅の使い方、春の霜害に対処する方法、フェロモンの使い方、畑の端が崩れないようにするための草の利用方法など。全てISO14000(環境にやさしい農業基準)の基準に対応するものだそうです。

「シャンパーニュが基準を決めるのですよ。これからの標準になるべきだと思っています。2,3年中にはAC格付け取得のための基準の一つに加えたい。環境にやさしくなければ、ワイン造りをやる資格がないようになる。現在は15000ある生産者のほぼ全体が遅れています。1000の生産者に対して質問書を送りました。90%は肯定的でした。社会的責任を果たすべきという意見でしたよ。ただこの考え方はとくに新しいものではないですよ。進化しようという考えです」というのはCIVC広報ディレクターのダニエル・ローソン。

テタンジェのフィリップ・クール氏は、「今すぐにガイドラインを守らせるようにするのはたやすいことではありませんが、いずれ、この動きが広がってきて周り中が配慮ある栽培方法を行なうようになって来るでしょう」と述べています。

既にCIVCの一歩先を行く生産者もいます。ポメリーです。「CIVCに先んじていますよ。既に環境基準ISO14000の他に優れたビジネス基準ISO9000も取得していますからね。1997に」と語るのはボリス・ブロー。

年間生産量が50000本のシャンパンハウス「デュマニン」のギル・デュマニンは「われわれはこれに従ってやっていますよ。これまでやってきたことを適切な言葉で表現すればね。ただし完全にこのガイドラインに従うとすれば、ある程度費用はかけなければならないでしょうね。しかしブドウ畑を守るためであり、そしてわれわれの未来を守るためですからね」と述べています。

この記事も11月7日付けデカンター・オンラインからでした。「シャンパンハウスがISOに取り組む」というのは何かしら、思いもよらない出来事という感じがしますが・・・。(H)

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