Topics&Columns(2001年11月4日)
いまどきのワインEコマース
オーストラリアのサイトであるワインプロが身売りに出ています。ジェームズ・ハリデイが顧問の会社です。私はワインプロはコマースサイトであるというより、情報サイトとして使っていました。いくつかのソースでレポートがありました。しかしこのサイトは財務状態はよいということが伝えられています。
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ジャスト・ドリンク・ドット・コムが伝えたものですが、オーストラリアの消費動向に関するデータの報告がありました。ワインの消費者はEコマースをどう利用しているかというものです。南オーストラリア大学のラリー・ロックシャインが、アデレードで開催されたOIV(Office International du Vin et du Vigne)で紹介した内容です。それによりますと・・・
インターネットでワインを買うのは、全体のワインの消費額の0.5%以下である。しかしワインに関する情報を入手するにはネットは極めて有用な手段ではある。実際どのチャネルよりも優れている。というのもワインの購買者は、ネット上ではみな匿名である。「どうもスノビッシュな雰囲気がいやだ」と思っている人でも容易にアクセスが出来るのだ。データとしては次のようなことが分かった。消費者はショップでは一回あたり11.5本を買う。ネットでは一回当たり18.5本を購入している。平均しての購入額は19.3豪ドルに対して、23.0豪ドル。さらにショップでしかワインを購入しないという消費者は、平均15.9豪ドルを消費し、年間の購入額は53.9豪ドル、ショップもネットも利用する消費者は103.0ドルを消費する。さらに面白い傾向としては、殆どの消費者は一度しかネットを利用しないということ。調査対象の750名の中で年間75回ネットを利用したという消費者が2、3名いたが、平均するとネット利用は、年間で1.5回ということになった。
オーストラリアのワイン消費者が対象なので、日本の消費者には必ずしも当てはまらないはずですが、自分を振り返ってみますと、確かにネット上で注文するのはさほど多くはないですね。3度くらいでしょうか?あとはネットで注文するとしても相手のことを良く分かっているケースのみです。
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さて場所変わってアメリカ。会社としてのワインドットコムがなくなって久しいですが、そのいくつかの資産を引き継いだEヴィニヤードドットコムは、通常のビジネスとして―つまり「ドットコムーーーーーーーーー」などと騒ぐことなくドットコムしているようです。3年前に目立たない会社を作ったのでしたが、いつのまにか巨大資本が入った、名だたる投資家たちが投資した会社に勝ってしまったのです。10月28日のプレス・デモクラットが伝えた内容から報告します。
CEOのラリー・ガーハードは現在、定価800ドルのハーマン・ミラーの椅子に座っているのだそうです。これはワインドットコムから75ドルで買ったものです。「彼らは短い間にあまりに多くの金を使いすぎた。彼らが投資したのは組織作りであって、会社やビジネスを造ることではなかったのさ」とガーハード氏は語ります。相変わらず売上規模は大きくはないのですが、間違いなくリーダーであり、この会社が成功しようが失敗しようが、この会社のモデルが今度のワイン業界でのEコマースのあり方の基本になるでしょう。
Eヴィニヤードは、他のライバル企業と異なり、投資家達のコントロールを防ぐためにコストを低く抑えつづけてきました。そしてライバル達がナパに、大規模で高価な配送センターを作り上げたのとは異なり、米国中に小規模でローコストの物流センターを作りました。さらに重要なことは、Eヴィニヤードはステップを踏んで、小売としてのライセンスを取得しながら、かつ大きなオーダーを処理するという能力を取得しました。ライバル会社は多くの州で独自の販売網をもたずローカルの業者と組んだために利益率を下げる結果になったのです。
「ハードワーキングでしたよ、彼らは。丁寧にやることに生きがいがあるような。自分達の間違いに気づき、それに学ぶことができるという人たちだ。楽天的に様々なことを約束しなかったし、その逆でもない。着実です」とEヴィニヤードについて語るのは、ポートランドに本拠をもつ搬送会社の社長。
500百万ドルの売上はコスコ(カリフォルニアに本拠をおくハイパーマーケット)の本年度のワインによる売上の予想、一方その約1%の4.5百万ドルというのが昨年度、全ドットコム企業による売上規模。多くはEヴィニヤードに行くことになるでしょう。
上記の記事の中には、さらに詳しくEヴィニヤードがどういう搬送・物流を行なっているか、在庫を行なっているか、どのようなヴィジョンなのか、ライバル会社との違いなどなどが分析してあります。
まだまだのワインEコマースです。様々なコンサルティング会社が予測した数字とはかけ離れて遅いというのが事実ですね。(H)
パーカーは影響力が強すぎる
ピション・ラランドのマダム・ド・ランクセンの言葉です。イギリスのワイントレードマガジンであるハーパーが10月末に行なった討論の中で述べました。参加者は、元スペクテーターのジェフ・モーガン、つい最近MWになったハーパー誌のティム・アトキン、それにマダム・ド・ランクセンでした。
10月31日付けデカンター・オンラインに掲載されていた内容からお伝えします。
マダムはこの中で「ボルドーではパーカーのポイントは大変な威力があります。ボルドーは(メディアに対して)テイスティングさせるのを止める必要があるのかもしれません。それが無理とすれば、すくなくとも半年はテイスティングを遅らすべきなのでしょう。パーカーを始めとするメディアのプレッシャーはすさまじいのです。多分先物は彼らのレーティングが発表される以前に売り出すべき」と述べています。
アトキンは、「特定の人物の舌に頼って100点満点法でワインを評価するというのは誤解を招きやすい。バスケットボールの試合で勝者を決めるのとはわけが違うのですから。デカンター誌のファイブ・スター法が良いと思う。ワインを評価するには、ワインメーカーのことも知らねばならないし、それはワイン特有のロマンスですよ。どこで造られているということもそうだし、どんなオリジナリティを持っているのかということについてもね。」と述べていて、一方のジェフ・モーガンは、
「100点法の方がなんと言っても分かりやすい。アメリカでは何でも速くなければならないし、背景というより「今」の方が大事なのです。100点法は入り口としてはもってこいなんです。ワインを売るのに役立つし、高いスコアが与えられるということはそれは優れた生産者であるということを意味するし、消費者も良いワインを買えるということになる。」
そのあとアトキンは、モーガンに対して「いつも同じポイントをつけるとは限らない」と反論し、モーガンは「同じポイントを与えることはあるが、確かにいつも同じとは限らない」と述べたようです。
これは最後のアトキンの反証は確かに説得力がありますね。ただモーガンが相手では役不足であったのは事実で、パーカーはなんと言ったでしょうね?「私ならいつでも同じワインには同じ点数をつけるよ」とでも言ったのでしょうか?そういったらそういったで、「じゃあテストしようか」などとなって面白いですよね。しかし「一日たてばワインの状態も変化するし、ワインはもともとボトルごとに違うのだ〜」といってしまうとテストも出来ない・・・
いずれにしても、アトキンが述べたというコメント「ボルドーの生産者は恥じるべきだ。スコアが出てくるまで待つなど・・・」という意見には完全に合意します。(H)
フランス政府はAOCを緩和しなさい
これもハーパー主催の会議での採択です。参加者は、上記のトピックに登場した人々に加えて、ウォーレン・ウィニアスキ(スタグスリープ・ワインセラーズ)、カルロス・ファルコ(ドミノ・デ・ヴァルデプーサ)、ポール・ポンタリエ(シャトー・マルゴー)、クリス・ハッチャー(ベリンジャー・ブラス)など。
ポンタリエ氏:「AOCは市場とは全く関係ないのです。ワインが悪ければ、売れないというだけ。」
ハッチャー氏:「ラベル表示制度(AOCのような制度を一般的な表現に変えたもの)は、ワインの中には何が入っているかをラベルに示すもの。しかしフランスのような階級制度にはなっていない。ワインの品質はワインメーカーと、生産地に頼っているのが現状だ。」
ランクセン氏「フランスはAOCを緩和すべきなのでしょうか?」ここで参加者の80%が賛同しました。
ハッチャー氏:「AOCを緩和するということは多分品質の底上げに役立つことでしょう。」
他の参加者:「AOCというのは、適当なワインを山ほど生産するための隠れ蓑になっているのです。」
ポンタリエ氏:「AOCを一気になくしてしまうと大変なことになりますよ。徐々にやらないと。フランスの政府は世界中で最もひどい。カフカが描いた悪夢のようです。しかし、AOCというのは世界中でも最も効率的な制度なのです。これまた悪夢なのですがね。」
29日付デカンター・オンラインからでした。(H)
カリフォルニアの厄介者
2001年の収穫では、ついにナパはガラス羽シャープシューターの被害を受けることがなかったようです。良かったですね。先週のいくつかのソースで報告がありました。(H)
詐欺してワインを買いにいけ
普通の事件といえばそうなのですが・・・オーストラリアの事件です。オーストラリア国立銀行のマネジャーであったヘザー・パワーが逮捕されました。26年間、銀行に勤務していましたが、1996年から昨年10月までに虚偽のローンをでっち上げて約8百万豪ドルを着服したのです。彼女は、その金でワイン、宝石、絵画を買い集めていたようです。39にも登る事件の容疑で8年の懲役を言い渡されました。パワーは反省はしているものの、刑の内容を不服として上訴しました。
理由?シドニーのアンティークショップで出会った二人の男性に出会ったのですが、この二人からの注意を惹き続けたかったためでした。彼女は、1996年から2000年までローン審査部門の責任者であったために、この事実が発覚しませんでした。貸付先の住所が同じ住所であったために見つかったものです。
このニュースは10月30日のミラー・オーストラリアン・テレグラフが伝えたものです。このニュースそのものに新規性があるわけではないと最初に書きましたが、その実、「ワイン」で検索をかけると、ネット上のこのようなニュースも引いてくるという例でした。(H)
ベストUSワイナリー
10月30日、ロンドンでのインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)で、カリフォルニアのデリカート・ファミリーが「ベストUSAワイン生産者」トロフィーを受賞しました。モンテラ・ブランドを含むいくつかのワインがメダルを受賞したのです。
デリカートは、現在ではモントレー近郊の4000ヘクタールのブドウ畑から様々な品種のブドウを収穫しています。連絡先は下記です。
Delicato Family Vineyard、
Cheryl Indelicato,
電話: US) 707/265-1700
IWSCはイギリスで1969年に創設されました。毎年数千のワインがエントリーするわけですが、これらはいくつかのグループに分けられて、それぞれをMWを含む専門家達が100点満点で、審査するというものです。この競技会には世界中から40名ものMWが参加します。
他の競技会と異なり、それぞれのグループで金賞は一つ、銀賞は一つ、銅賞は一つということで賞が与えられますので、銅賞受賞でもそれなりの意味があるのです。金賞は85点以上のポイントで、かつ全審査員が合意したワインのみに与えられます。トロフィーは、どのグループでも素晴らしい業績をあげたワイン生産者に与えられます。
いくつかのソースで伝えていました。セントラルコーストは楽しみな産地です。(H)
グランジのオークション
11月1日のワインプロニュースからです。
ラングトンがグランジのみのオークションを行ないます。サイレント・ビッドで、11月30日にクローズされます。300ロット、インペリアル、マグナム、ケースなどなどが登場するようです。目玉は1951年から1996年までの46ストレート・ヴィンテージです。昨年、同様のセットが176千オーストラリアドルで落札されました。
オークションカタログは、langtons@langtons.com.auまで。(H)
2001年ポメリーの大胆
10月31日デカンター・オンラインからです(今週はデカンターの配信は多いでしたね)。
ご存知かどうかは知りませんが、2001年のシャンパーニュの収穫は1873年以来の最悪といわれています。「英国雨」のためです。ヴェルテュスは、ヴィンテージをつくらないと宣言しましたし、ボランジェは「収穫の一週間前に、3日続けての雨天、しかも60mmも降った。考えられる最悪の天候だった」としています。大方のシャンパンハウスも同様でNVシャンパンを造るのにリザーブを使うというのが多いようです。
そんな中でLVMH系列のポメリーは、なんと「ルイーズ」を生産する予定です。
「良い年とか悪い年とか、あまり関係がないのです。ワインのスタイル、そしてどこでブドウが栽培されているかが重要です。例えば1987年はひどい年だといわれましたが、私達にとっては素晴らしいルイーズが生産できた年でした。今年実際にルイーズを生産するかはまだ未定ですが、準備はしています」と、醸造家のティエリー・ガスコ氏はデカンター誌に語っています。
シャンパーニュの、特定のある畑だけに60mmもの雨が降るとは思えないですよね。それを考えると力のあるブドウの収穫ができたとは思えないですが、そんなものなのでしょうか?ポメリーとは?
注目のワインメーカー
サンフランシスコ・クロニクル誌は、毎年ワインメーカー・オブ・ジ・イヤーを選出しますが、今年はベリンジャー・ワイナリーのエド・スブラギアでした。SFゲート・オンラインには、彼がガロ出身であること、UCデイヴィス出身であることなど、様々なことが書かれていますね。
さて、それより注目のワインメーカーということで・・・、クロニクルに紹介のあった人々を紹介しましょう。
サンディ・ベルチャー、53歳
アーンズ・ワイナリー、ロング・ヴィニヤードのワインメーカーです。ギリシャ人を両親に持ち、ヴァージニア州で育ちました。USデイヴィスを化学で卒業。ハイツ・セラーズ、イタリア、オーストラリアで経験を積みました。1977年にロバート・ロングに出会い、白の生産方法を着実なものとしました。フレンチ・スタイル・シャルドネが彼女の好みのようです。アーンズでは約800ケースのカベルネ・ソーヴィニョンしか生産していません。「8000とか9000を生産するワイナリーなんて結局は大手に飲み込まれる運命なのよ」ということで極小ワイナリーの経営を続けています。アーンズ・カベルネは65ドルとのこと。見つかればですがね。
フィリップ・メルカ、35歳
フリー・ワインコンサルタント/ワインメーカー
フィリップがワイン造りに求めるものは、個性、特徴、フィネスとしてエレガンスといいます。ボルドーで、土壌とブドウとの関連を学び、そして様々なワイナリーで学びました。ペトリュスで学んだことから世界中の国々にも道が開かれたのです。1994年にカリフォルニアに移住した理由は経済的な理由でした。当時フランス経済はダメ、一方アメリカ経済はのぼり調子でカリフォルニアでもワイナリーへの投資が引き続き行なわれていたのです。シーヴィー、そしてレイル、コンスタントなど、経験豊かなワインメーカーを雇わない・雇えないようなワイナリーのコンサルタントを引き受けました。そこからクインテッサ、ヴィニヤード29、マーストンなどを引き受けるようになりました。自分のワインも生産しはじめました。MetisseとCJです。CJは、クロエとジェレミーという二人の子供の名。稼いだ金は子供達の学業用だとか。
トム・スミス、43歳
デリカートのワインメーカーです。クレアモントのハーヴィー・マッド大で化学を専攻しました。在学中にワインに興味を覚えました。フリーマーク・アビーで学び、そしてキャラウェイ、そしてヘスに移りました。そして1994年デリカート・ファミリーに副社長ワインメーカーとして就任し、以来デリカートにいます。「ブドウの力を発揮させることが目標です。ブドウ畑で正しいことをやれば、あとは比較的簡単です」とその哲学については述べています。今週のトピックにあるとおり、WSICでベストUSA生産者となりました。
ウェルズ・ガスリー、31歳
コペインのワインメーカー。テキサス生まれ。ペッパーダイン大学でマーケティングを専攻。卒業後しばらくはテキサスにもどって働いたものの、マーケティングで一生食うのは無理だと思い、ワイン・スペクテータ誌に出ていた「テースティング・コーディネーター」の職についたのです。この業務は「何もないところから一歩のところ」からスタートしたものの、ワインに関する膨大な知識と人脈を与えてくれる事になったのです。その中にミア・クラインとターリーのエーレン・ジョーダンがいました。彼らのアドバイスのもと欧州へ、そして運良くシャプティエで学ぶことが出来ました。もどった後に自分のワイナリーであるコペインを始めたのです。
マイケル・ショルツ、37歳
セント・スペリーのワインメーカー。オーストラリア生まれ。ショルツは、家族が所有していたバロッサのブドウ畑で育ちました。一家は殆ど全て外科医でした。しかしマイケルはワイン造りの道を選んだのです。「ワイン造りというのは農場経営の延長なのですよ。土の延長、しつけの延長なのです。」1986年にローズワージ農業大学を卒業して5年間、オーストラリア中のワイナリーで働きました。1991年、海外に出たかったマイケルは、ソノマのアイアンホースでワインメーカーを始めました。一旦オーストラリアに戻り、そして南アを経由して、現在のポジションを射止めました。曰く「品質の決め手は畑ですよ。はじけるようなブドウの表情は、土壌の個性であり、品種の個性から来るものです。」セント・スペリーは、ミシェル・ロランをワインメーカーとして迎えることに決めたので、ショルツは2002年以降、ソノマのワトル・クリークに移ります。
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期せずして長くなりましたが、全てのコメント、クレームはhm@barriqueville.comまでお願いします。(H)