Topics&Columns(2001年10月1日)
ワインが多すぎる!
世界中でワインが過剰生産です。
アメリカでは、カリフォルニアがフィロキセラ被害による植え替えがほぼ終了してフル生産の状況、2001年は2000年よりは生産量は抑えたというものの、チリ産ワインも市場にあふれているために市場は吸収しきれない、カリフォルニアワインの価格は下がると専門家は見ています。さる7月にロス・アンゼルス#1のレストラン「パティーナ」のソムリエに話を聞いたときには「まだ値段が下がる気配さえない」と言っていましたが、いよいよ現実味を帯びてきました。
シャルドネが最もひどく、次にカベルネ・ソーヴィニョンがひどいといいます。地域的には、セントラル・コーストとセントラル・ヴァレーが生産過剰状態が際立っています。実際、モデスト地区では既に3500エーカーのブドウ畑の破棄が決定されています。南米産のワインにも同じ品種が多いこともあって、あるブドウのブローカーによれば、これらの品種を諦めるしか今後のブドウ畑の継続は難しくなるだろうとも見ています。同地域が全カリフォルニアで最も中級以下の生産量が多い地域ですので、これは推してしかるべきともいえます。
北部の方は若干状況がことなり、シャルドネの過剰状態は同じですが、赤ではカベルネ・ソーヴィニョンではなくメルローが過剰気味です。いずれの場所もシラーは強いとしています。北部ではステルス・ブランドも考えている生産者も少なくないそうです。
フランスでも供給過剰が続いています。ボルドーの高級ワインは2000年ワインは既に先物で飛ぶように売れてしまったわけですが、それ以外のワイン、とくに南仏のワインは極めてひどい状況にあるようです。テーブルワインの80%はラングドック・ルーションで生産されていますが、新大陸産ワインの進出と、輸出の落ち(白で20%、赤で2.3%)も手伝って、供給過剰は明らかになってきたのです。
フランス政府は、1億1500万フラン(約18億円ぐらい?)の補助金を出すことにしました。この補助金は、低品質のワインを生産している生産者にワインを廃棄させ、その代わりに補償金をだすというものです。日本の減反政策に似ていますね。ただこの資金はただ減量にのみ使用されるわけではなく、専門家を採用して品質向上を促す指導をおこなう、あるいはそのための新たな器具を購入させるための費用としても使われるようです。フランスは、2001年、約6億本!(総生産量の10%、総額150億円以上)ものワインの廃棄処分(リキュールへの転用を含む)を目指しています。
当然のことですが、国内の生産サイドだけの対策では収まる問題ではありません。需要を喚起する側も何とかしなければならないわけですが、そのためにより消費者に対してアピールするようなブランティング、ラベリングも考えていかなければならないという意識も高まってきているようです。農務省は10年プランを立てて産業全体のてこ入れを開始することも考えています。
上記は、タイム、スペクテータ、デカンターなどの大手情報誌をはじめとして、ここ数日間いくつかのソースで伝えている内容です。オーストラリアでも2001年の収穫は平年より33%も生産量が多かったということで、全世界での供給過剰感に拍車がかかっています。「ワインなら何でもOK」という消費者の皆さんには歓迎ですよね。
長期的には産業全体の構造が代わるでしょう。南米、南ア、オーストラリアなどここ10年ぐらいの間に大々的に生産量が伸びてきましたからネ。多分旧大陸フランス、イタリアの中、低位ワインの生産者はいなくなり、その分は南半球産ワインの優良生産者が取って代わるのだろうなと思います。
しかし実は南半球が、この状況でハッピーかといえばそうでもないのです。西オーストラリアワイン協会の会長であるフランクリン・テイト氏は、マーケティング委員会の席上で「生産者の誰かが、自分は良いワインを造ることができる、と思うならば誰でも良質のワインを生産できると思った方が良い。時代は変わったのだ。それで自分達のワインを売っていくためにはどうしたらよいのかということを考えなければならなくなって来ている。それが出来ない中小のワイナリーはここ数年のうちに淘汰される。多分その数は20から40にのぼるはず。生産サイドではなくてマーケティングサイドに力を入れなければならない」と述べています。この発言は、26日付ジャスト・ドリンク・ドット・コムが伝えていました。(H)
ワインが上場(続)
先週オーストラリアでワインが上場するという話をお伝えしましたが、今週は、ニュージーランドも同じことを考え始めた。はたまた実はフランスでは既にスタートした話?です。
先週の話よりさらによく練りこまれていると言うか―先物で上場したワインがボトリングされたら、ワインは委託倉庫に運ばれ、そして推奨された期日が来たときに実際に届けられる、あるいはオークションにかけられる・・・などといったストーリーまで作られています。9月27日付マールボロ―・エクスプレス・オンライン「スタッフ」にワイン評論家のブレンドン・バーン(BB)が書いていた評論を補足しながらお伝えします。
しかしNZワインは基本的には長期熟成型のワインではないわけです。NZ内では、マールボローのワインが最も高品質ですが、(というか生産者が最も多い)それでさえもそもそもクラウディ・ベイのソーヴィニョン・ブランで有名になった地域、ソーヴィニョン・ブランは、リリース後早めに飲むことが推奨されるワイン。この地域もシャルドネも5年以内(BB)の消費が望ましいなどといわれます。今でこそピノ・ノワールも有名ですが、ボトリング後の熟成可能性についてはまだ誰も知りません。カベルネ・ソーヴィニョンは、どういうわけだか、みなさっさと飲んでしまう。そこでBBが書いていますのは、ワイラウ平野のマッドハウス・ブラック・スワン、グローブ・ミル、セント・クレア・ラパウラ・リザーブ、そしてフォレストなどは、熟成するに従って若いうちのフレーバーに加えて、複雑みを増してくるワインであろうと述べています。
BBはこの中でちょっと横道にそれた話をしています。上記で述べたワイナリー、在庫を捌いてしまった後に有名になってきたために、なんとなんと、みずからアウトレットに出かけ、ライブラリー用のワインとして小売価格でワインを買い戻しているという噂があるという・・・マジ?という感じですね。
この上場の関連で言えば、最上級ワインはそれほど生産量が少ないということを言いたいのが一つと、ワイナリーは生産量を増やすためには、そして消費者がこれらのワインを買えるようになるためには、さらにこれらの熟成したワインを買うためには、ワイナリーには十分なキャッシュがなければならないということを言いたいのです。そのためにも、まだボトリング前のワインに対して価格がつき、資金が入ってくるこの「ワイン上場」の仕組みは重要なのであるとBBは言いたいように私には思えました。
さてもうひとつ、フランスの話は、「ワイン先物が21日に上場したがスロー・スタートだった」という内容です。伝えたのは26日フィナンシャルタイムズ・オンラインの「コモディティ&農業」セクションです。このタイトルをみて笑ってしまいました。こうなるとワインも高尚なイメージとは程遠い。
ユーロネクストでボルドーの先物「ワインフェックス」取引が開始されました。しかし21日以来25日終了時までで、20の契約の中で100ケースが取引されたのみで随分とスローなスタートだったようです。内容を見てみないので正直どのような中身なのかは分かりませんが、「2000年ヴィンテージの2002年11月のデリバリーものが、21日スタート時に37.5ユーロだったものが、25日は35ユーロ。2001年ヴィンテージの2003年デリバリーものが37.5ユーロだった」と伝えています。
2001年ものはまだ収穫中ですが取引はされているのです。これを見ると、紙で取引されるようになると、ワインのレーティングも何もなく、ただの農産物だということが分かります。
ボルドーのシャトーはこの動きには反対しているようで、「砂糖やバラ肉とは違うぞ」ということでワインフェックスをボイコットしています。ネゴシアンにも同調するように求めている様です。
フランスの生産者は嫌いでしょうね、そりゃ。消費者の立場からすれば、これだけの情報だと、相手を見ないで、親だけ見て結婚相手を決めるようなものですよね。コモディティの先物でさえもある程度、どこ産のどういう品質というのは分かっているはずで、ましてワインなど千差万別なんだから・・・どなたかワインフェックスの中身を教えてください。しかし個人的にはやってみれば良いという立場です。(H)
ニュージーランドのワイナリーツアーはいかが?
クラシック・ニュージーランド・ワイントレイル―ニュージーランドのワイナリーを巡るルートが出来たそうです。ホークスベイに始まり、マーチンボロー、そして首都ウェリントンをへてマールボロを通過しカイコーラまでのルートです。あるいは逆行するルートです。
つい最近クライスト・チャーチ(南島の最大都市)でツアー会社を運営していらっしゃるという吉村様より案内をいただきました。多分このルートもご存知でしょう。アクセスしてみてはいかがでしょうか?私もNZにはそのうちぜひ行ってみたいので、その時はお願いしてみようと思っています。最近日本でも良く見かけるようになりましたギーセンなどはクライストチャーチのワイナリーです。
社名:Southern Escape Ltd.
サイトアドレス: www.southernescape.com
ワイナリー巡りのページ:
www.southernescape.com/winery.html
(H)
全てのコメント、クレームはhm@barriqueville.comまでお願いします。(H)