Topics&Columns(2001年8月20日)
ジミーワトソン賞
『今年のオーストラリア、ジミーワトソン賞は、ペッパーツリーワイナリーのクリス・キャメロンに与えられました。2000年ペッパーツリー・リザーブ・クーナワラ・カベルネの優秀な品質に対して与えられたものです。
ジミーワトソンは、ジミーワトソン・ワインバーの創設者で、この賞は1962年にジミーの友人達の手によって開始されました。ジミーがバーでのワインリストに加えたであろうと考えられる、一歳の赤ワインに与えられます。
ニュー・サウス・ウェールズのワイナリーが、トロフィーを受賞したのはたったの3回目なのです。ワインは南オーストラリアですが。
1996年にパーカー・エステートに吸収されて以来、ペッパーツリーは急速に実力を伸ばしてきました。実際1998年クーナワラ・カベルネはつい先だって行なわれたロイヤル・シドニー・ワインショーでもトロフィーを受賞しましたし、ロンドンでのワイン・アンド・スピリッツ競技会でも受賞を果たしています。
クリス・キャメロンは1991年にペッパーツリーに入りましたが、「聖杯を授かることができて光栄至極」と述べています。
かのワインはまだ樽の中ですが、2002年にリリースされます。』
これは8月10日付けワイン・プロからでした。また一つ、オーストラリアで新星が誕生しましたね。(H)
ピアース病の解決策はフロリダから
実はフロリダにもピアース病があります。
『フロリダでブドウ栽培が行なわれないのは暑さや湿度のほかにも、ピアース病が存在するからなのです。今のところせいぜいマスカルダイン(ミュスカルダン)ぐらいのブドウしか栽培されていません。
フロリダ大学のデニス・グレイ教授は、植物から特殊なたんぱく質を生み出させる、つまり遺伝子組み替えをおこなうことによって病気を死滅させてしまおう、という研究をしています。現在テスト段階にありますので、ブドウの木が生長してくるまで5年もしくは10年の年月はかかろうとしています。
しかしこのGM(遺伝子組み替え)に関しては議論が絶えることはありません。最も大きな質問は「新たな遺伝子を与えるということで、新たな毒を生み出してしまうことにならないか?人体がアレルギーを起こすようなことにならないか?」ということです。
同じ病気によってカリフォルニアは打撃を受けつつあるわけですが、カリフォルニアのワイン業界はGMによらない解決策を志向しています。いわゆる遺伝子組み替え食品を受け入れる土壌が十分でないと考えているからです。フランスでは、病気を避けるためのGMについてはテストが続けられています。ただ15年から25年後にならないと実際には市場にワインが出回ることにはならないともしています。
「わたしもそういった声には配慮しています。リスクに関しては十分に審査しますし、植物の安全性は確認するようにします」とグレイ教授は述べています。』
上記は8月16日付CNN.comサイテックからでした。
スクリューキャップ過激派
しがらみがないと何でも自由に出来るのです。NZの人々はどんどんコルクを止めてしまおうとしています。
8月18日付NZヘラルド・オンラインの記事の中で紹介されているコルク使用を止めた、あるいはやめようとしているマールボローのワイナリーは次のとおりです。
ここに上げただけで全部で25ワイナリーです。市場の10%を占める売上を持つヴィラ・マリアがスクリューキャップに変更するということを発表したので追随することになった模様です。しかし最大手のモンタナはまだ様子見の姿勢。
コルクが悪者になっている理由はバリックヴィルの過去のページをご覧いただけるとわかりますが、トリクロロアニソル(TCA)という物質が「コルク臭」を発生させるためです。発生率は諸説あって、1%程度から15%とする説まで様々です。立場の違い、分析方法の違いで使う数字が違います。
そこでこの物質を取り除くために様々な試みが行なわれてきたのですが、結局「コルクを止めてしまえ」という結論に達したワイナリーが増えてきたということです。「ロマンチックなイメージ」、「緊張感を高める儀式」、「秘めやかな雰囲気をかもし出す」など、様々に意味付けされたコルクなわけなのですが、品質にはなんら関係がないというのは全くの事実。そして一人だけ、しかもマイナーな造り手がこれを始めるとすれば受け入れられるのは難しいでしょうが、マールボロという世界に既に知られたピノ・ノワール、シャルドネの産地のこれほど多くのワイナリーが「一斉に始める」ということは、コルクを長年使用してきたワイン産業の歴史の中でも大きな意味があることでしょう。
この記事のコメントの中には次のようなものがあります。
Good Web Guide to Wineのトム・カナヴァンは、「素晴らしいワインのコルクを引き抜く瞬間にはやはり満ち足りたものを感じる」
モンタナの広報担当のザーク・ヴァン・デン・バーグは、「積極的にならない理由は、10%ものコルク汚染があると考えていませんし、先に導入されたスクリューキャップつきワインに対する市場の反応を見たいからなのです」
そしてヘラルド誌のワインライターであるジョエル・トンプソンは、「5年後にはワイナリーの半分はスクリューキャップに変わっているでしょう。品質こそが問題なのです。コルクにまつわるロマンスとスクリューキャップの利便性のいずれかで良い品質のワインを選択出来るかどうかが決まるとなれば、どちらを取るべきか言うまでもないでしょう。コルクを使わなければ、そもそも消費者を惑わせている『コルク臭』のなぞもなくしてしまえるのですよ」
私はジョエル・トンプソンの立場に賛成なのですが、皆さんはいかがですか?この話を知れば知るほどレストランでのコルクの抜栓が余計な仕事のように見えてきて仕方ないのです。(H)
オーストラリアワイン業界の構造変化
15日づけアジアオンラインに業界スペシャリストのウィル・テイラーの言葉が載せられていました。
・・・
「徹底した合理化の動きと、グローバルな競争が進む中では、中小のワイナリーは今後の身の振り方を考えていかねばならなくなっている。より強くなるか、あるいはもう撤退していくのか」
グローバルな合理化の中でいくつかのグループ企業が誕生しました。ミルダラブラス―ベリンジャー、サウスコープ―ローズモント、セントハレット―ヒルストウ、ケープメンテル―マウントアダム、エヴァンズテイト―セルウィン―オークリッジ、ローズモント―モンダヴィ、そしてサイメン―マギルです。世界中でワインの選択の幅が増えて、(さまざまな情報でもって)消費者の選択能力が高まって来たためにこのようなグループ化が必須の状況になったのです。
「ある程度の量を流通させることができてもブランド認知度が低い場合には、大規模なバイヤーの言いなりになる。先行き不透明なそんな中企業は多い。一方で小規模でもブランドを確立していて、直接有名なレストランやワインショップに卸すニッチなルートとか、あるいはワイナリーで販売が出来てしまうようなワイナリーは心配は要らない。これがある程度の規模になってくるとまた話は別だが」とテイラー氏。
・・・
巨大企業でなければ生存が難しいのかもしれない―これを証明するように、7月30日にノーマン・ヴィニヤードは倒産してしまいました(18日付BEW.com.au)。流通は大きくなりつつあってもマネジメントが変わりきれなかった。マーケティングがおろそかだった。そしてザナドゥグループに入ろうとして失敗したのでした。
つまらない世界ですよね。2分されて他に存在のしようがなくなるというのは。しかし最初に紹介したペッパーツリーもそうですが、マーガレットリバーに登場したファーモイ・エステート(16日付西オーストラリア・ビジネスニュースに紹介)などは、どこまでも新星のごとき輝きをはなって欲しいですね。
15日付のCNN.comには「野蛮人がフランスワインを脅かす」というタイトルで、フランス農務省の長官が警告を出しているという記事がありました。これは長官が出した80ページもの報告書についてのものです。フランスワインのシェアがどんどん下がっていることについてオールド(旧大陸)エコノミーがニュー(新大陸)エコノミーに侵略されているという警鐘をならす目的で作成された報告書です。
そもそもリキュール業界は、華々しくグローバル企業です。ニューエコノミーもオールドエコノミーも関係ない。考えてみればLVMHは泣く子も黙る国際企業、その傘下にあるワイン生産者はモエやブシャールなど。ニューエコノミーの中にも、ブランドを育てようとしています。ペルノ・リカール(PR)はオーストラリアのメジャーブランドのジェイコブズ・クリークを所有しています。ジェイコブズ・クリークが発表した業績予想によれば、その内容は、イギリスでの25%の売上アップを始めとした非常に好調な内容でした。そしてPR全体の売上にも貢献するといいます。
たしかにオールドエコノミーから見ても巨大企業であれば、生き残れるということはあるのかもしれませんね。従って、テイラーが言っている命題は成立するのかもしれません。一方のフランス農務省長官の話はわかりませんね。ニューエコノミーとオールドエコノミーとの対立構造だけで民心をあおって何をしようとするのでしょうか。(H)
2001年ナパの収穫
ぼちぼち収穫が始まっているという話が入りだしました。多くの人々が朝方の霧が冷涼な温度をもたらし、長期にわたって収穫が可能、ただ昨年より10%は収穫量が少なくなるだろうとの予想を立てているようです。
ドメイン・シャンドンは収穫を開始しました。シャンドンのケリー・メーハーによると「殆ど去年と同じ」とのこと。
ホーニック・セラーのクリスティン・ビレアによれば「素晴らしい天候。この天候の中でブドウの収穫ができたとしてまずいワインを造ることなどできない」
ドメイン・カーネロスのアイリーン・クレインは「収穫は大きすぎないし、小さすぎないし。望ましいところです」
シュラムズバーグも本格的な収穫作業を開始したところですが、約一週間ほど早く開始しました。「このまま行けば楽な収穫になります」とヒュー・ダヴィーズは述べています。
「今年は良い年になりますよ。4月に寒冷前線がきたりとか、熱波が来たりしました。そのためにところどころダメージはありましたが、全般的には平年を上回る収穫を予想しています。霧が良い影響をもたらしています。冷涼な中で収穫を進めたいですからね」
上記はナパ・ワインニュースからのレポートをまとめたものです。21世紀ワイン、楽しみですよね。(H)