Topics(1999年10月−12月)

 

インドのワイン (updated 12/30/99)

フィナンシャルタイムズにインドのワインについての記事を見つけましたので紹介します。誰も興味ないって?まあそう言わず、お付き合いください。

インドでのワインの一人あたりの消費量はティースプーン一杯程度で、イスラムに限らず宗教の力が強い国では当然といえば当然ですが、歴史を振り返ると必ずしもワインに縁のない国ではないようです。

エジプトと同じ頃、紀元前1000年にはワインを造っていたらしく、やはりアレキサンダー大王の支配下となったマケドニアの影響でワインは広く飲まれていたようです。また、古代ヒンズー教では現在と違い、ワインを飲むことに何ら反対はしていなかったといいます。16世紀、17世紀の頃のモグール帝国でもワインは愛飲されていました。

イギリスの植民地となってもこの伝統は引き継がれていましたが、19世紀終わりに世界中を席捲したフィロキセラの害でブドウ畑は壊滅し、荒れ果てたままになり、ワイン造りも衰退したのです。フィロキセラがワイン文化を終わらせてしまったのです。

しかしその後、ワイン文化の復興は可能であったかもしれません。しかしその後禁欲主義と反帝国主義の結果としてインド独立が達成されました。当然のごとく多くの州で帝国群が愛飲したアルコールが禁止されてしまったのです。ワイン産業はなかなか復興しませんでした。古いデータですが1982年現在、ブドウの作付け面積は50000ヘクタール、その内ワインに使用されているものは1パーセントにも満たないのです。現在も大きな変動はないといいます。

最近、ワインフェスティバルがボンベイの郊外のNarangeonというところ(ボンベイから車で4時間)で行なわれました。ここではインドのビジネスマンであるシャム・チョウグルという人物がワイン造りをしています。彼がワインに魅せられ、ワイン造りを始めたのが1982年です。まず最初に、パイパー・テクノロジーというシャンパーニュのコンサルタントを雇い、スパークリングワインをつくりました。ボンベイの北180キロの場所に位置するSahydri Valleyは、海抜780メートルの場所で、その石灰質の土壌から酸味の強いブドウができるため、スパークリングワインに適しているからでした。彼はまた500万ドルを投資し、ユニ・ブランをハイ・トレリス仕立てで植えました。トレリスを高くつくることで、空気の循環をよくするのが目的でした。その結果できたワインは、歯切れがよく、スパイシーなインディアン・フードによく合うワインとなっています。もっともインド国内ではもっと甘いMarquiese de Pompadourというワインが人気があるようですが。

インドでのブドウつくりでやっかいなのは、驚くべき事に二毛作になってしまうことで、そのうちのどちらかしかワイン造りに適したブドウはできないのです。一回分は棄ててしまうか、剪定を通常よりも厳しく行ったりして対応しているといいます。

現在のインド人のワインの消費量は微々たるものですが、何しろ人口10億人の国です。可能性の高いマーケットとして期待できます。あの中国でさえも、金持ちが飲むのはもはや老酒ではなくてよく名が売れたボルドーですからね。

日本のインディアン・レストランにはインド・ワインは入っているのでしょうか?

リーデルのグラス (updated 12/21/99)

ワイン・スペクテーターの12月15日号のカバーストーリーは、リーデルグラスについてです。リーデルは由緒正しいオーストリアのグラスメーカーで、当然のように昔からワイングラスの第一人者だと思っていましたが、ワイングラスを積極的に展開するようになったのは、現在の当主、10代目のゲオルク・リーデルになってからのようで、ここ10年程度のことです。

まだアメリカで全く知られていない頃の1989年、ロバート・モンダヴィに売り込みをした時のエピソードが語られています。話を聞いていたロバートは怒り出し、グラスによってワインの味が違うなどという話は馬鹿らしいといったそうです。しかし実際にテースティングしてみると、そのあまりの味わいの違いにショックを受け、それまで使っていたグラスをやめて、即座にリーデルのグラスを採用することに決めたといいます。なんとも決断力のあるロバート・モンダヴィらしい話です。

来春、発売予定のカレラ・ワイナリーの本の中にもリーデルの主催したテースティング会に行く話がでてきます(日本語翻訳版では、その部分はカットしましたが)。集まったのは、カレラ、アイアン・ホース、セインツベリー、アケイシアというカリフォルニアを代表するプレミアム・ピノ・ノワールを生産するワインメーカーたちです。最初の説明では、皆一様に懐疑的だったのに、実際に様々な形のグラスでテースティングしてみると驚くほどの違いが確認されたといいます。

リーデルのグラスは、ワインの特徴と舌が味覚を感じるメカニズムを結び付けて、その個性を引き立たせるような設計になっています。例えば、甘みは舌の先で感じるため、甘さを強調したいワインではワインが最初に舌の先にあたるような設計にするのです。酸っぱさを感じさせたくない場合には、舌の両端にあまり行かないような設計にする、といった具合です。

250年という長い歴史を通して、リーデル家は常に革新的な精神を持ちつづけてきました。もともとボヘミアで創業、最初はグラスの売買を行う商人でしたが、1756年(3代目の時)に工場を買い、メーカーになりました。小規模のプレミアム・グラスを製造するメーカーでしたが、6代目はかなりのやり手で、5つのグラス工場、2つのガラス精製所、ブロンズの鋳造所、そして紡績工場をもち、従業員1250人も抱える大企業となりました。7代目の時には、さらにグラスに色をつけるという技術革新を成し遂げ(現在の信号はこのおかげです)、会社は3200人の従業員を抱えるほどに成長していました。8代目のウォルター・リーデルは「ガラス博士」として知られ、第二次世界大戦の時にヒットラーに協力し、戦争後はソビエトで10年間にわたって拘留され、ソビエトのグラス産業立ち上げに協力させられました。

9代目のクラウス・ジョセフ・リーデルは、どちらかといえば出来の悪い方で、第二次世界大戦の時に志願して軍隊に入り、イタリアに駐留、その時ドイツ人嫌いの両親をもつイタリア女性とロミオとジュリエットさながらの恋をしましたが、違っていたのはその恋が成就したことです。戦争終結と同時にアメリカ軍の捕虜となりましたが、列車から飛び降りて脱走し、スワロフスキー家(クリスタルメーカーとして全世界に名前が知れています)にかくまってもらい、そこで大学教育を受けさせてもらったのでした。

こうして戦争を乗り越えた8代目と9代目は1956年にオーストリアでガラス工場を買い、再出発します。それまでの工業的なグラスではなく、芸術性のより高いグラスに製品ラインをシフトさせていきました。そしてワイングラスにおけるリーデルの名声を高めたソムリエ・シリーズを生み出したのもこの9代目の発案でした。このグラスは、初めてワインのタイプ別にグラスを作ったもので全部、手吹きで作られています。一方で、手工業的な芸術品であるソムリエ・シリーズに対して普及版としてヴィヌム(ヴァイナム)・シリーズを市場に出します。これは機械によるOEM生産です。このヴァイナム・シリーズを出したのが86年で、これにより一般のワイン愛好家の手に届く価格になり、普及していきました。 この辺のところは現在のゲオルク・リーデルのビジネスマンとしての手腕が大きいようです。

92年にはローヌのワインメーカーであるルネ・ロスタンの協力を得て、シラーを一番引き立たせるグラスを開発し、94年に試作品が完成。ローヌの名だたるワイナリーであるジャン・ルイ・シャーブ、ミシェル・シャプティエ、アラン・グレヨ、ジャン・ルク・コロンボらを招待してテースティング会が開かれました。それぞれ自分たちのワインを12のタイプのグラスでテースティングし、点数を付け、その平均点を出して上位2つのグラスが最終選考に残ったといいます。「平均」ということは低い点数を付けた人もいたかと思いきや、上位2つに関しては全員一致だったそうです。そうして完成したのが「エルミタージュ」です。

現在では、ワイングラスといえば、リーデルという印象が強くなっています。機能的でありながら美しいというのは、確かにリーデルを置いては他にないでしょう。リーデルの成功を見て、似たようなグラスが市場にたくさん出るようになっています。例えばドイツのシュピーゲルハウスといったグラスメーカーは、リーデルにそっくりなワイングラスを出しています。見た目はそっくりですが、アロマやフレーバーを的確に引き出すという意味ではリーデルに及ばないというのが今のところ専門家の見方のようですが。

ナパのトレンドを支える女性ワインメーカー (updated 12/14/99)

ナパのスーパー・プレミアムワインといえば、グレース・ファミリーやスクリーミング・イーグルといったワイナリーの名前が挙げられますが、そのコンサルタント・ワインメーカーとして実質的にこれらのワインを造っているのはハイジ・ピーターソン・バレット、 現在40歳になる女性です。彼女は、リチャード・ピーターソンという有名なワインメーカーの娘で、シャトー・モンテリーナのワインメーカー、ボー・バレットの妻という家庭環境にあります。由緒正しいワインメーカーなのです。

出身はカリフォルニア大学デービス校で、1980年に発酵化学を専攻して卒業。まずフランシスカン、シルバー・オークで働いた後、82年にブシェイン・ヴィンヤードのアシスタント・ワインメーカー。そして25歳にしてBuehler Vineyardsのワインメーカーになった後、88年にコンサルタントとして独立。Dalla Valle Vineyard(これも有名ですね!)のワインなどで成功を収め、現在では10社のコンサルタントとして活躍しています。彼女のコンサルタント料は、その名声にも関わらず比較的安く、月2000ドルから3000ドル程度ということです(一社あたり年間10万ドルもとるコンサルタントもいるのです。いい商売です)。

彼女の強みは、天性のテースティング力です。ブドウをいつ収穫し、いつ搾るか。それを化学的な数字だけに頼らず、テースティングによって判断するところに彼女の芸術性があります。

彼女がクライアントを選ぶ基準は、1)顧客がいい人であること、2)顧客の品質に対するコミットメント、3)畑にその可能性があること、4)顧客が畑を改善していくための投資を惜しまないこと、だそうです。

彼女が現在コンサルティングしているワイナリーは以下の10社です。

Barbour Vineyards
Diamond Creek Winery
Grace Family Vineyards
Jones Family Winery
Lamborn Family Wine Co.
La Sirena(彼女自身のブランドです)
Lynch Knoll
Paradigm
Screaming Eagle
Showket Vineyards
Vineyard 29

過去にコンサルタントしたことがあるワイナリーは次の通りです。

Buehler Vineyards
Dalla Valle Vineyards
David Arthur Vineyards
Folie a Deux(彼女の父親のワイナリー。サンジョベーゼも出しています)
Hartwell/Grace
Liparita Vineyards
Oakford Vineyards
Pine Ridge Winery

このリストを見ると、どれほどの凄腕かよく判りますね。彼女なくしては今のナパはないのです!

金脈の南アワイン (updated 12/14/99)

ジャンシス・ロビンソンがフィナンシャル・タイムズのコラムに書いているものを見つけたので、少し補足しながら内容をご紹介します。

イギリスでは最近、ニュージーランドの白ワインに注目が集まっているようです。ジャンシスは相当以前から、「ニュージーランドワインを騙されたつもりで買って飲みなさい」といっていましたので、これが功を奏したというものでしょう。しかし、今回は南アワインの話でした。

南アの生産量はニュージーの15倍、世界でも6番目というワイン大国で、ここを見過ごすわけにはいきません。ジャンシスは南アはプロモーション努力が足りないということも言っているのですが、1992年から南アの生産体制は大きく変りました。中央管理体制が壊れ、KWVがただのワイン生産者となった年です。南アワインの歴史は私のレジメの「南ア」セクションをご覧ください。背景が判ると南アが政府主導でプロモーションがやりにくいというの納得できます。さてジャンシスによると、次のようなことになります。

南アはイギリスにプロモーション専門の機関も置いておらず、今一つマーケティングに力がはいっていませんでした。もっとも成功しているワインは、白ワイン、その中でもシェナン・ブラン(=スティーン)。最も生産量が多く、伝統もあります。Stellenzichtの1996年は、最高のヴーヴレーに匹敵するワインとのこと。その他にもL'AvenirとMorganhofといったワイナリーが、かなりバリューの高いシェナン・ブランを生産しています。

シェナン・ブランだけでなく、ソーヴィニョン・ブランといった世界的に人気のある品種においても、なかなかいいワインを造るポテンシャルを持っています。昨今注目のニュージーランドのソーヴィニョン・ブランと値段的にもちょうどいい競合関係にあります。南アのソーヴィニョン・ブランは、ニュージーランドのソーヴィニョン・ブラン(マールボロ産のワイン−例えばクラウディ・ベイ)に比べると若干ソフトで、やさしいスタイルが一般的ですが、最高のものは生き生きとしています。Mulderbosch、Steenberg、Springfield、Neil Ellisがお勧めです。セミヨンもよいです。

シャルドネやピノ・ノワールにはようやくまともなクローンを使って品質の高いワイン造りを目指すようになっています。Glen Carlou、Saxenburg、Vergelegen、Bouchard-Finlaysonといったワイナリーは注目です。

Fairviewといった大手のワイナリーは、ヨーロッパの苗床商から木を直輸入して改善に取り組んでいますが、その中でもヴィオニエは世界に誇れるレベルのワインができています。そのスタイルは、南仏ラングドックあたりの安いワインよりはコンドリューに近い正統的なもの。

一般的には、赤ワインはマイナーな存在です。赤ワイン用のブドウは全体の20%以下で、ピノタージュ、カベルネ、シラーなどの生産量は不足しています。Kanankop、Beyerskloof、Clos Malverne、Grangehurst、Hidden Valley、Warwickなどのワイナリーのピノタージュには目を見張るものがあります。カベルネはリーフロールというウィルスの為に、なかなか完全にブドウが熟さないという問題もあったりするので、酸味が高くなりすぎたりしています。他には、Veenwoudenのメルローなども素晴らしいです。これら赤ワインは、全体的に品質向上が進められていますが、その中でもっとも注目度の高いのはシラーズでしょう。StellenzichtやSaxenburgのシラーズは好例です。

以上の様な内容です。ワイナリーの名前が上げられていますので、見つけられたら試して見てください。南アワインは新大陸にはないボーン・ドライと旧大陸にはない新たなブレンドの試みがあったりして個人的には興味を持って見ています。すでにシャルドネは安価で優れているとおもいます。赤についてはかつお節のフレーバーの飲みやすいものばかりでなく、ビッグ・ワインの登場を待ってはいるのですが。

 

 

アメリカのソムリエ (updated 12/6/99)

先週のトピックはあまり人気がなかったと見えて、アクセス数が減少しておりました。今週はあのマット・クレイマーがワイン・スペクテーターに書いていましたアメリカのソムリエについてのコラムをご紹介しましょう。私も個人的に同調できるために紹介するわけですが、、、「これがサービスか?」というタイトルです。あのマット・クレイマーという人は、普通に皮肉を言う人ですので多少は笑って流せます。が今回は彼にしてはかなり頭に来ていると判断したほうがいいでしょう。イギリス人はアメリカ人に対して、もともと批判的な面がありますので、それを考慮に入れたとしても、今回は結構痛烈ですよ。

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ソムリエというのは何だろう?その前にどれだけのアメリカ人が正しく「ソムリエ」と発音できるだろうか?この10年間でアメリカでは文化が洗練されたということも言えるのだろうが、多くのソムリエが誕生した。いやはや実に多くのソムリエ達を見るようになったものである。しっかりと勉強している。黒づくめのスーツに身を固め、重々しい感じだ。おまけにだんだん横柄になってきつつある。

例をだそう。友人とサンフランのある出来たばかりのレストランにいった時だ。レストランの名はシェフの名前がついている。そういう類の店だ。まあわれわれは知られた顔だったと思う。しかし、これが重要なことだが、われわれは単に二人でメシを楽しみにいった。誰のためでもない。

席について、持っていった最初のワインを飲み始めた時だ。そこのレストランのソムリエ?が仰々しく挨拶にやってきた。人当たりがよさそうに見えた。わたしはわざわざその挨拶をさえぎって、グラスの方を指差した。ほとんど空になったグラスに気付けば、本当のソムリエならば、すぐに気がついて注ぎ足すと思った、、、彼女はそそくさとテーブルを離れ、戻ってきた。そして名刺をわれわれのテーブルにおいた。

何ということだろうか!いったいソムリエという職業をなんと考えているのだろうか。スターか何かか?勘違いもはなはだしい。レストランの顔として雇われた?それは何とか卒業証だの資格だのは持っているのかもしれないが、一体全体何のために彼らはいるのか?客のためではないのか?

わたしが気に入っているソムリエはいる。ローズ・ピストラのピーター・バーミンガム(SF)、カンパニルのマンフレッド・クランクル(LA)などはそうだ。全く強要することなく、説教がましくなく客を楽しませるすべを心得ている。魅力的なワインリストを揃えて、相応の時間の中で、わたしさえもこれまで体験したことがないような愉快な気持ちにさせてくれる。

しかし、近ごろのわけのわからん小僧ソムリエ達は、自分達が中心のようだ。それはワイン・スペクテータなどというワインを中心に取り上げる雑誌のせいもあるかもしれない。しかしワインはそもそも食事に花をそえるもの、食事そのものではないし、ソムリエも同じだ。いつからソムリエはえらくなったのだ?横柄になったのだ?よしんばワインの購買に責任を持っているかもしれない、それは普通のウェイターとは違うのかも知れない。しかし、客がしった事ではない。ウェイターが名刺をくれる?笑わせる。

神社の奥に控えおわすワイン様に仕える神主のごとき役割をになっていらっしゃるのかもしれない。仕える相手が違ってしまったのだ。

プロフェッショナリズム?まあそれは必要かも知れないが、間違えないで欲しい。どうも丁寧に振る舞うというということと重要である様に見えるということをごっちゃになっている。所詮、ワイナリーがあって、ディストリビューターがあって、新聞があって、それから客があって、その人たちが他のウェイターよりも近くにおいておかなければならないからその存在があるんだ。まあこんな事は長くは続かないだろう。いずれソムリエも神社からでてきて普通になるだろう。レストランと一体でなければならない。

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さていかがでしょうか。マットの毒舌。いいですね。内容はともかく、ここまではっきりと自分の意見を言ってくれるとすっきりします。日本ではここまで言うと嫌われるはずです。

それはともかくとして、長年イギリスで育てられてきた伝統のワイン・サービスに対して、ごく短期間の内に、ここ10年間のバブルの間にワイン・サービスという職業が発展してきたアメリカ。そこは大きな違いがあると思います。

どちらがいいかと聞かれれば、わたしが客としてレストランに行ったらのなら、わたしの方が大事なように扱われるべきでしょう。その店の誰であろうと「客よりも俺の方がここでは大事だ」というような態度をとっていればいやです。こっちは楽しみに行き、レストランではそれに応えるという、少なくとも相互に尊重できるような関係であるべきと思います。

 

  

ワインステート誌のワイン・オブ・ザ・イヤー (updated 11/29/99)

先週、広告について紹介したWinestateという雑誌ですが、今週は肝心の「ワイン・オブ・ザ・イヤー」を紹介します。審査員は3名のワイン専門家で、ブラインド・テースティングで各カテゴリーのワインを選び、その中から最後にワイン・オブ・ザ・イヤーを決めるというスタイルです。各品種別では3位まで紹介しますが、それでもリストはかなり長いので、忍耐をお願いします。

ワイン・オブ・ザ・イヤー
Penfolds Grange 1994

ソービニョン・ブラン
1. Peregrine Sauvignon Blanc 1998
2. Nobilo Icon Sauvignon Blanc 1997
3. Selaks Drylands Marylboroughtr Sauvingnon Blanc 1997
3. Phillip Island Wines Sauvignon Blanc 1998

スパークリング・ワイン
1. Penley Coonawarra Method Traditonale Pinot Noir Chardonnay 1991
2. Nautilus Cuvee Brust NV
3. Richmond Grove Chardonnay Pinot Noir NV
3. Miranda HIgh Coutry sparkoing Shiraz NV

リースリング
1. Taylor St. Andrews Riesling 1994
2. Sandalford Margaret River/Mmmmmt Barker Riesling 1995
3. Galafrey Mount Barker Riesling 1998

セミヨン
1. Reg Drayton Wines Semillon 1994
2. Vasse Felix Semillon 1998
3. Cape Mentelle Semillon Sauvignon Blanc 1998
3. Penfolds Adelaide Hills Semillon 1997
3. Tyrrell's Wines HunterValley Aged Reliease Vat 1 Semillon 1994

シャルドネ
1. Delegat's Reserve Chardonnay 1998
2. Matua Valley Matheson Estate Chardonnay 1998
3. Orland St Hilary Chardonnay 1997

ピノ・ノワール
1. Stonier Mornington Peninsula Pinot Noir 1998
2. Dry River Pinot Noir 1997
3. Cloudy Bay Pinot Noir 1997

メルロー
1. Bilancia Merlot 1998
2. Esk Valley Black Label Merlot 1998
3. Unison Selection 1997

カベルネ
1. Vasse Felix Heytesbury 1997
2. Penfolds Bin 707 Cabernet Sauvignon 1996
3. Bremerton Cabernet Sauvignon 1997

シラー
1. Penfolds Grange 1994
2. Fox Creek Shiraz 1998
3. Majella Coonawarra Shiraz 1997
3. Grant Burge Meshach 1995

グルナッシュ
1. Yalumba Bush Vine Grenache 1997
2. Haselgrove Picture Series Grenache 1998
3. Rosemount Estate GSM Grenache Shiraz Mourvedre 1997

甘口白ワイン
1. Noble One Botyrtis Semillon 1996
2. 1997 Noble One Botrytis Semillon
3. Ngatarawa Alwyn 1994

酒精強化ワイン
1. Brown Brothers Liqueur Muscat
2. Morris Old Premium Liqueur Tokay
3. Haselgrove H 'VP' Shiraz 1997

さすがの広告? (updated 11/21/99)

Winestateという雑誌は以前も紹介していますが、「オーストラリア&ニュージーランド ワインガイド」です。これは2月に一度発行されます。今回11月/12月号から紹介します。この号は「ワインエステートが選ぶワイン・オブ・ザ・イヤー」号です。

といっても今日紹介するのはワインではなくて、その広告です。この雑誌のワイン・オブ・ザ・イヤーは、ブドウ品種ごとに12のセクションに分かれていて、それぞれセクションごとにトロフィーがあって、最後にその中でのベストが選択されるようになっています。セクションごとのトロフィーにはスポンサーがついていて多分賞金が出るのでしょう(どうなっているのか質問をしてみますが)。そしてセクションごとに見開きで左が受賞ワインの紹介があり、そして右側がスポンサーの広告が出ています。

ぱらぱらとめくっただけの時は、その広告をみて、この雑誌はいつからワイン生産者向けの雑誌になったかと思いたくなるほどでした。ソーヴィニョン・ブランのセクションのスポンサーはGREGOIREというブドウ収穫機メーカーで、シャルドネのスポンサーはVISLIN-BUCHERでよく知られたプレスメーカーです。それぞれに収穫機とプレスが写真入りで出ているのです。いかにも収穫機というのはこんなんで、プレスとか除梗機はこんなものだよー。という感じで載せてあります。

さすがだな、と思いました。最近日本で竹の子のようにワイン雑誌の創刊が続きましたが、広告といえば、宝石、ファッション、寝具、照明器具なんかもあったりしてワインとは関係のないものも結構あり、肝心の内容の方も、焦点が全然定まっていなくて、単に機械的に、「ワインがはやった。ワインはスノッブな飲み物だからスノッブ的なのもはなんでも入れちまえ」的に個人的には思えてしまいます。ほとんどファッション雑誌かと見間違うほどのものもあります。それぞれの雑誌のコンセプトだと言ってしまえばそれまでですが、ひたすらに流行を追い求めるという姿勢で、ワイン業界を支えましょうというようなところがありません。高級イメージをできるだけ崩さない様に宝石やファッションに結び付け、タヒチの旅行案内などを載せて、いわば「特別の状況」に結び付け、生活に密着したものではないかの様なプレゼンテーションをしているのです。もちろんワインのそういうような楽しみ方もありますが、「生活に密着したワイン」という側面も気になります。

ちょうど上のように感じていたところに、Winestate誌にブドウプレスだの、収穫機の広告写真が出ていたものですから驚きました。スポンサーとはいえ、このような広告を掲載する必要はありません。もともと地域のワインの紹介を目的にした雑誌ですが、やはり全体を通して、ワインに対する姿勢がシッカリしていると思います。「夏を迎える。小鳥と蜂に気を付けろ」といった記事、ブドウ栽培教育の記事など、地域フォーカスという以上にワイン産業に対してのコミットメントがあります。しかしそのコミットメントはどこからきたのでしょうか?歴史や文化、そしてワインが生活に完全に根づいているからなのでしょう。日本人には同じような背景はありません。一般に、日本でワインといえば、「輸入ワイン」のことで、国産ワインはおまけのようなものです。消費者と生産者の結びつきがほとんどなく、マスコミで日本でのワイン造りが取り上げられるのも、「珍しいことをやっている」的な視点からです。

ワイン生産国で発行されている雑誌には必ず、「生活に密着したワイン」という視点があります。DecanterもWine Spectatorもそうです。いつかは日本でもワインが単なる嗜好品ではなくなる時が来れば、日本の雑誌も変わるのでしょう。

 

カナダのワイン? (updated 11/21/99)

カナダのワインなんて、そう言えば聞いたことなかったな。そんなものがあるの?とおっしゃるかもしれません。しかし実は日本でも数年前から「カナダのアイスワイン」というのは徐々に知られてきています。

ワイン・スペクテーターの10月31日号に、カナダのワインについての記事がありますので、この記事をつかってカナダのワインをちょっと整理しましょう。この記事は「日本人が探し回ってくれたおかげでカナダのワイン産業が知られるようになってきた」という書き出しで始まっているのです。日本人のワイン探しは国内にとどまりません…

「カナダでのワインの生産量は、たったの2500万ケース。オーストリアやブルガリアレベルである。四州でワイン生産がされているが、オンタリオ州のNiagara Peninsulaとブリティッシュ・コロンビア州のOkanagan Valleyといった二つの冷涼な地域が有名で、シャルドネ、リースリング、ピノ・ブラン、ゲヴュルツで優れたワインが生産されるようになっている。冬季は毎年寒く、コンスタントにアイスワインの生産ができる。

アメリカとの北米自由貿易協定の導入(1989年)で、国産ワインに対しての酒税が50%から110%に跳ね上がったために輸入ワインと真剣に対抗できるような品質のワインを造らねばならなくなった。先の2州では、跳ね上がった税金を財源に、コンコードなどのブドウの木をヨーロッパの高級品種に植え替えるよう奨励金を出した。まだまだハイブリッド種や、アメリカ種のブドウの木は残っているものの、相当数が今日まで植え替えられてきている。

また、品質管理を行うために、1989年にオンタリオ州で、続く1990年にブリティッシュ・コロンビア州でVintners Quality Alliance(VQA)という連合組織ができた(訳注: この名称は「品質」という名が入った世界的にも珍しい品質管理の組合組織ですね)。 このガイドライン(と書いてありますので、強制度がどの程度のものかは判りません)では、下記のような二つの品質区分がある。

  • PD (Provincial Designation)
    • 100%カナダ産のブドウを使用していること
    • 85%はボトリングされる州産のブドウであること
    • 収穫時の糖度が一定以上であること
  • DVA (Designated Viticultural Area)
    • 下記の7つのDVAが設定されている
      • ブリティッシュ・コロンビア − Okanagan Valley, Similkameen Valley, Fraser Valley, Vancouver Island,
      • オンタリオ − Niagara Peninsula, Lake Erie North Shore, Pelee Island
    • 85%はそれぞれのDVA地域産であること
    • ヴァラエタルワインであれば85%は、そのブドウ品種であること
    • ブドウ畑を付ける場合はかならずDVA内にあること、ならびに100%その畑で生産されたブドウであること
    • エステート・ワインとは、DVA内のブドウ畑と同じ場所でボトリングされたワインであること
  • 遅摘みの種類
    • Late Harvest,
    • Select Late Harvest
    • Special Select Late Harvest
    • Ice Wine
      • 華氏18度以下の気温の状態で、凍っているブドウを収穫し、ブドウジュースを添加すること(ズースレゼルブ)は禁止

    もう一つの事実として、カナダのワインのディストリビューションは州政府の独占であるということがある。ワイナリーでの直接販売の方が若干利益率が高い。こういった統制と品質向上への試みのおかげで、1989年から1999年の間の売上げの伸びは40%となった。生産量の約10%が英国、日本、中国、米国向けの輸出である」


ということになっています。いくつか面白いのは、(1) Vintners Quality Alliance(VQA)という組織は、「品質」という名が入った世界的にも珍しい品質管理の組合組織ですね。単に「xxワイン連合組合」というのでなくて、この組織の目標がはっきりうたわれています。 (2) PDとDVAの違いにコンセプト的に最も近いのは、イタリアのVdTIGTとDOCではないかと思います。アメリカのAVAと比較すると、AVAの方にはPDとDVAの両方が含まれている様な気がします。 (3) 遅摘みワインの名前は多分アルザスあたりが参考になっているのでしょうが、「貴腐」という名前が一切入っていません。いずれにしてもそれぞれの定義の違いが分かりませんので、どんなものなのか分かりません。 (4) カナダでのワインのディストリビューションの話は、かのカレラ・ワイナリーについて書かれた "Heartbreak Grape" の中にも登場します。どこの州の話かは1月出版予定(またまた遅れています、この件についてはほとんど狼少年です)の訳本を読んでいただきたいのですが、どっとオーダーはもらったが、キャンセルをくらってひどい目にあったということが書かれています。その後にこの州の官僚の方々は逆転ホームランを打つわけなのですが……

この号では、下記のようなワインが紹介されていました。

  • ブリティッシュ・コロンビア
    • Jackson-Triggs (RL-IW), Burrowing Owl (CDN), Gray Monk (CDN), Hauthorne Mountain (Ehrenfelser-IW), Mission Hill (IW), Sumac Ridge (SB-IW), Tinhorn Creek (Kerner-IW)
  • オンタリオ
    • Henry of Pelham (RL-IW), Inniskillin (Dival Blanc-IW), Konselmann (Vidal Blanc-IW), Ch. des Charmes (RL), Hillebrand (Vidal Blanc-IW), Thirty Bench (CDN), Pillitteri Estates (Gewurz-IW), Stoney Ridge (CDN)

      (IW:アイスワイン、CDN:シャルドネ、RL:リースリング、PG:ピノ・グリ、SB:ソーヴィニョン・ブラン)

アイスワインはともかく、「カナダのシャルドネ」は正直に申し上げて飲んだことがありません。もし「ここで売っている、あそこで仕入れている」とご存知の方がこのページを見ていらっしゃいましたらご連絡ください。よろしくお願いします。

 

あなたが持っているワインの値段はいくらでしょう? (updated 11/14/99)

"Wine Price File" という本があります。オークションおよび小売りで取り引きされた価格の一覧表です。1999年版で13版、約550ページ、94000のワインをカバーします。初めての出版が1989年で、これより4分の1の厚みだったと言いますから、相当な発展ぶりです。それぞれ、いつのオークションだったか、いつの小売りの値段かが分かりますので、同じワインの時系列での値段が上昇していく推移が判ろうかと思いながらチェックしました。

が、あにはからんや(えらい古い言葉だな、使い方は正しいのでしょうか)で、予想に反して全く判りません。まずは、非常に基本的なことですが、取り引きの多いワインの場合、昔のオークションの取り引き値段は載っていません。例えば、ラフィットの場合、1784年!もののデータから1995年もののデータまで載っており、これをカバーするのに全体で約1000行(1データ1行)を使ってありますが、古いヴィンテージは1985年のオークションの取り引き価格が最古で、1945年もの以降のデータになると1997年の取り引き価格となります。

この本はバイヤーズ・ガイドのような楽しみ方をすべきなようです。例えば先の1784年ものは、ボトルの肩まで液面は下がっている状態で、1997年にクリスティーズ・ロンドンで一本34,694ドルで落札されました。最も高価で落札されているヴィンテージは1787年もので、同じくクリスティーズ・ロンドンで1985年に172,095ドルで落札されています。ワインも200年も経つと大変なことになりますね。いずれにしてもそういうわけで、人気のワインの場合は、過去からの値段の推移を見てみることはちょっと難しいようです。本の制作者の趣旨もバイヤーズ・ガイドにあるようですので、そもそも私が価格の推移を見ようとしたのが間違いなのです。

そうは言っても、例えば90年ヴィンテージの価格が97年と98年にはどう動いたかぐらいの短期の動きは分かるのではないかと思って見てみるわけですが、例えばモメサンのクロ・ド・タール90年などは、97年の方が高いぐらいです。Chフィジャックも同じ。フェイヴレーのクロ・ド・ラ・ロッシュ90年などは93年、96年、97年とデータがありますが、93年がもっとも高い。そのうちオークション、小売りの行われる場所の違いによって極めて値段の幅が大きいということに気がつきました。ラトゥールの場合、90年ヴィンテージの値段が、同じ98年でありながら、クリスティーズ・ロンドンと、ザッキ・クリスティーズ(ニューヨーク)で、前者は334.77ドルで、後者は594.17ドルという値段の違いです。同じ例では、ヴォギュエのミュジニがありました。しかしラフィットの場合は、50ドル程度の差しかありませんが、逆転してます。どうも年代よりも場所によって違いがあるようです。

そう思いながらチェックすると(なかなか落ちがこなくて申し訳ありません)、90年のオーパス・ワンの場合は、モレルのオークションでは、約95ドル程度ですが、ザッキ=クリスティーズのオークションでは143ドル、シェリー・リーマンのオークションだと153ドル程度です。オークションが開かれた時期は、それぞれ98年の9月、2月、3月となっております。全てニューヨークで開催されています。となると、場所も関係ないかもしれません。相当に違いが出ています。

もうここまで来るとお手上げです。古ければ上がるかどうか判らないし、ワインの値段には場所も関係がなさそうです。ならば、90年ものぐらいのものはボトルには多少の違いがあっても目をつぶれるとしたら、オークションハウスの違いか? などとも思いましたが、他にもいろいろな要素が絡んで値段が違ってくるのでしょうね。オークション会場の参加者にも関係があるでしょうし、景気の動向も関係があるでしょうし、他にもいろいろと有りそうですので、この辺で諦めることにしましょう。結局は、何がオークションでの落札価格を決めるかが判らないので、私たち個人がもっているワインを売りに出したらいくらか判らないだろう、というのが落ちでした。

ちなみにこの本は、パーカーのワイン・アドバイザーというソフトについているそうですので、パーカーのポイントと照らし合わせながら最近の値段のトレンドを知り、次回のオークションでの落札のために値段戦略を練るという使い方が良さそうです。

 

サン・フランシスコ・クロニクル紙の選ぶワインメーカー・オブ・ザ・イヤー (updated 11/14/99)

11月10日付けの同紙によると、カリフォルニアのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーには、Geyser PeakのDaryl Groomと Michael Schroeter が選ばれた。ゲイザー・ピークは、今年の1月から6月までの6ヶ月間で各地のワインコンテストでトータル30以上のメダルを獲得し、とくに1998年ソノマ・カウンティ・ソービニオン・ブランは7つのコンテストでゴールド・メダルを獲得している。ワインの出来は、ブドウのよしあしが80%、人的要素が20%だというのがGroomの意見。

2人ともオーストラリア出身で、バロッサのペンフォールド・ワイナリーで有名なペンフォールド・グランジを作っていた仲間だったが、89年にまず、Groomが米国にきて、その後Schroeterが93年にきた。Schroeterの一家は代々ペンフォールドのワインメーカー。

これまでは、Alexandre Reserve Alexander Valley Meritage Red が$40ドル程度で出されていたが、今後100ドルクラスのワインをBin シリーズとして出す予定という(1996 Bin 1 Alexander Valley Cabernet Sauvignonと1996 Bin 2 Alexander Valley Shiraz)。

カリフォルニアのワインはますますインフレしているようです。

 

勝沼の中央葡萄酒に行ってきました (updated 11/7/99)

勝沼の中央葡萄酒(グレース・ワイナリー)にお邪魔しました。社長は勝沼のワイン界を代表する三澤さんです。

はじめは1階のセラーを見せていただき、今年仕込んだばかりの樽を見せていただきました。中身は甲州ブドウでした。倉の中の温度は15度以上にはならない様にしているとのことでした。当然樽そのもの、発酵の話、熟成の話など樽にまつわるいろいろの話を伺いました。トロンセ産の樽は今は10万円(話を総合すると多分勝沼渡しでの値段です)するそうです。かつては5万円と聞いたことももあります。非常に奇麗な樽で、私などは全部新樽だと思いましたが意外にもそうではありませんでした。カリフォルニアとオーストラリアの倉で憶えている限り(つい最近はカレラ・ワイナリーの倉を見てきましたが)、白ワインでも一年落ちのものはそれと分かるぐらいに黒ずんでいましたし、どこの倉でも数ヶ月も新樽に入っていれば、外側までじわっと染み出している感じがありました。ですので1年落ちの樽はもっと染みがあると思い込んでいました。樽メーカーはセグン・モローで、カレラではフランコ・フェレなので、そのへんの違いでしょうか。

面白かったのは、セグン・モローはアメリカン・オークをフランスで樽にするという話でした。アメリカン・オークとフレンチ・オークは性格が違うというのはよく知られたことですが、同じ気候の中で乾燥させてみたらどうだろうかという発想で始めたようだということでした。オークは、数年間は自然乾燥しなければならないのですが、自然に放っておかれるということならば、確かに気候の違いだけで最終製品の違いが出るでしょう。逆にフレンチオークをアメリカで作ったらどうなるのかという試みはしないのでしょうかね?自分で答えるのもなんですが、しません、と思います。樽メーカー各社が他国のオークをフランスで作るというのは、フレンチオークの生産量に不安があるためで、フレンチオークはこれまでどおりプレミアムワインに使って、そしてやや格落ちするワインには味は似ているが第三国のオークを使って云々ということにしないといけないのでしょう。天然資源には限りがあるわけですから。これは、あくまで勝手な推測です。

テースティングの時に、面白い表を見せていただきました。いろいろの人に、いろいろのタイプの樽をテイストしてもらった時のワイン評価シートです。対象は、醸造家、ソムリエ、ワイン学校の生徒でした。いろいろのタイプとは、産地(トロンセ、ヌヴェール、ヴォージュ)とローストの仕方(ライト・トースト、ミディアム・トースト、ヘヴィ・トースト)でした。ローストに関しては醸造家の皆さんはライト・トーストがもっとも点数が高かったのですが、ソムリエはほぼ3つとも同じ、ワイン学校の生徒はミディアム・トーストが好きであったという結果でした。どういう事かといえば、強く焦がすと樽の成分がでにくくなります。軽く焦がしただけだと樽のバニラの成分が余計に出やすくなります。ロースト香は逆になります。という事で、誰にワインの評価を依頼するかということで、点の付け方が異なるという事実を目の当たりにしたわけでした。商売がらですかね、みなさん。ソムリエはそれなりにすべてを上手に評価できなければなりませんし、醸造家はワインに強い個性を与えたいし、ワイン学校の生徒が一番好き嫌いがはっきり言える立場ですよね。ワインを勉強はしても、ワインで飯を食うわけではないですから。

畑にも行きました。鳥居開(とりいびら)の足元に近いところにある畑で、高級ブドウが栽培されています。まず、私の個人的な印象としては、(カリフォルニアやオーストラリアに比較してです)木がすごくナイーブでした。鳥居開と言えば、勝沼の当たりでももっとも日当たりが良く、古くからの甲州ブドウの産地です。畑の場所は粘土質が多いとのことでしたが、日本は一般的に土地が肥えているので、成長が激しいはずですが、どうも木の様子は、そうでもないような気がしました。4葉ぐらいの木でもガー激しくて太かったと記憶していました。台木のせい?養分?土質?日光?雨?それとも三澤さんが自ら気にしておられた夜温が高いせいでしょうか?事実カリフォルニアは夜と昼では寒暖は相当あります。

木々はすべて、マンズのレインカット方式でした。葉と実に直接当たる雨は防げるが、結局地中の水分を吸い上げるのは同じだから難しいという話でした。 風通しが今ひとつという話もありました。これらを改善するために、一つの幹から4つのケイン(軸枝)をとる方法が中心から、ギヨに近い方式に変えてみたりといろいろの工夫をされているようでした。単純に言えば芽の数が減るので収量は減りますが、木は地中の養分や水分とのバランスを取らなければならないので成長点を減らす事で結果がどう出るかは分からない。「こっちをとればこっちを犠牲にしなければならないかもしれないし、なかなか単純には行きませんよ」との話でした。

書き始めるとごちゃごちゃと書いてしまう悪い癖がついてしまいました。今回は息子を連れていったために、ピーピー言い出すと三澤さんの声が届かないような(周囲の皆さんに息子の声がじゃまにならないような)ところまで離れてしまい、実は肝心のところを聞き逃し、枝葉末節についての私個人の勝手なコメントを付けてしまっただけかもしれません。あしからずご了承ください。

 

元メルシャン勝沼工場長 関根 彰 さんとの話 −そのA (updated 10/31/99)

食事の最中に個人的に甲州ブドウについていろいろな話を聞かせていただきました。私は完全にオタクの様に見えてしまいますね。そうではありません、実は。ただのファンです。

スパークリングワインについて

Q: 甲州でスパークリングワインを造るという試みはされたことがあるのかについて?
A: やったことはあります。しかし「弱い」。これからも試みは続くでしょうが、時間がかかるでしょうね。

Q: ウィルス・フリーを使えば糖度は上がるのではないでしょうか?
A: それでも20%までは上がりません。

垣根造りの甲州について

Q: 甲州の品質を上げるという意味で、垣根で甲州は造れないのでしょうか?
A: 障害は芽と芽の間隔が広すぎること。あれではちょっと無理でしょう。種から選抜していって垣根に合うような品種をつくるとしてもとても一世代ではすまないでしょうから、いつ出来るか見当もつきません。

Q: まずは棚でもいいですから、収量を抑える事から始めるべきなのでしょうか?しかし、甲州を作っている農家の皆さんは、甲州は安いから、同じ値段なら量産したいのではないでしょうか?
A: そうでしょうね。だから栽培醸造家みたいな人がいないと難しい。メルシャンの若い人には、「採算を度外視して、例えば畑一列でいいからこれまでにないようなブドウを育てて、それですごいワインを造ってみろ」とははっぱを掛けてはいますが、やってくれるかどうか楽しみなんですよ。いずれにしても勝沼全体でいろいろな試みが行われているのは事実ですよ。

私は、ここで甲州のブドウ農家の人たちが「あまり安いから、どんどん作る人が減っているよ」という話をしていたのを忘れていました。これは別の意味で収量が減るわけです。つまり木を抜いてしまうという事ですので、歩留まりを下げる(=品質が向上する)ということではありません。

造り方の開発について

Q: 例えばタンクから樽にジュースを移す時には、基本的に還元雰囲気の中で、ホースの途中に空気をごく僅かに入れることでタンニンとアントシアニンのまろやかな結合を促すとか(これは何と呼ばれましたか?)、あるいは発酵開始後すぐには温度を上げて、アントシアニンの抽出は促すが、タンニンが出過ぎる前に温度を下げてしまうというやり方など、メルシャンではいろいろのやり方を研究されていますが、これは何故ですか?
A: ワインの造り方は変わりつづけているでしょう。私どももその流れにいるだけですよ。

Q: でもブルゴーニュでは、昔も今も単純な造り方ではないでしょうか?
A: そうも言えますが、その造り方でさえも変わってきた結果かもしれないですよ。飲みたいワインが変われば当然造り方を代えなければいけないと思いますよ。

Q: つまり人間が相手である限りは、マーケティングサイドからの要望もあると。そしてその要望に応えるために造り方を研究するということですか?
A: その通りです。

 

以上簡単に要訳しました。造詣深い話が聞けました。

 

元メルシャン勝沼工場長 関根 彰 さんとの話 −その@ (updated 10/31/99)

私が所属しているワイン会が10月30日にありました。そこで元メルシャン勝沼工場長の関根さんからテロワールの話を聞かせていただきました。

テロワールとは何か?というのはということに関しては「土だ」という人もいれば、「ミクロクリマ(マイクロクライメット)」だという人もいれば様々なのですが、関根さんは「風土でしょう」とおっしゃいました。風土といえばなんだ?とこれまた疑問もわくのですが、ミクロクリマに近いとおもいます。関根さんのお話は、ボルドーとブルゴーニュの土壌の違いについて、土壌の構造、いつ頃の土壌か、河岸からどれぐらい離れているのか、斜面の角度、高度のちがいの側面から分析し、それが水はけにどう影響するか、根のはり具合はどう異なるかを解説する内容でした。物理的な側面からの内容が中心で理解しやすいものでした。話の一端を説明しますと次のようになります。

水はけは重要である。例えば上は砂礫で、下が密度が高い粘土のような二つの層があると、その層のすきまで水の流れができる。その水がちゃんと排水が出来るような場所であれば、ブドウはうまく育つ。そしてその粘土層の上で根を横に張る。ボルドーは、海抜は低いために河岸に近いエリアでは排水ができず、よいブドウは出来ないが、内陸にはいって海抜が15m以上のところになれば水はけが改善されてブドウがよくなる。シャトー・ラグランジュは、サントリーが水はけを改善させるような処置を施してから、ブドウの質は大幅に改善した。

関根さんは、テロワール主義者ではありません。テロワール主義者というのは、「テロワールがブドウを決める、そしてワインを決める」という考えを持つ人々ですが、これはブルゴーニュの人は間違いなくそうです。ボルドー派の人は、そうではありません。関根さんも果たせるかなボルドー派だそうです。テロワール主義者の人は、上記のような物理的な側面よりも化学的な側面を重視します。例えば(関根さんも否定はしていませんが)シャブリのキンメリッジ質というのは有名ですが、これは牡蠣が石灰石と一緒になって堆積したものだそうです。一般的には、この牡蠣が、シャブリ独特のミネラル成分を生み出すといわれるわけです。典型的には、このシャブリですが、他にもブルゴーニュの銘栽培地のコート・ド・ニュイやボーヌでも石灰石の成分がブドウの性質によい影響を与えるというものです。ロマネ・コンティは、18世紀に土壌改善のために、牡蠣ガラを畑の中にぶち込むという事をやりました。その成分が重要だと考えているからだというのは当然でしょう。現在でも雨が降って土壌が流れると、下から上へ流れた土壌を運び上げるのです。

関根さんは「テロワールがすべてではなく、他にも重要なことがいろいろありますよ」とおっしゃってました。「人の手がもっとも重要なのではないか」と。テロワールでさえも人の知恵と手が入っているのですよということで、上のロマネコンティの土壌改良の話をされました。これは有名なはなしです。

私はロバートモンダヴィの広報の人物を2人知っていますが、一人はアメリカ人でピノ・ノワールが個人的な好み。もう一人はフランス人でカベルネが個人的な好み。アメリカ人の方がテロワール主義者で、「人間の手はじゃま」というほどでした。フランス人の方は、テロワールというより土壌はそんなに大事ではないよと言っていました。別々に会いましたので喧嘩するようなことはありませんでしたが。フランス人の言葉には「ええっ?!」と思いました。しかし、AOCでもボルドーには畑の格付けは存在しません。シャトー・コンセプトですので、あるシャトーがとなりの畑を手に入れてそれを自分のシャトーにしてしまえばそれっきりなのです。ボルドーではテロワールの意識は弱いというのはこのことからも当然であるかもしれません。むろんブルゴーニュとの比較においてですが。

しかしロマネコンティの話についてはどうも疑問がありますねえ。化学的な成分についての分析が行われていたはずはないので、経験からだとは思いますが、どうして牡蠣ガラだったんでしょうかねえ?

 (続きに行く)

Decanterが選んだ南アピノタージュ(updated 10/28/99)

南アのワイン雑誌経由の情報ですが、イギリスのワイン雑誌のDecanter誌が選んだ南アのピノタージュの上位には次のようなワインが選ばれました。このうち、日本で手にはいるものはあるのでしょうか?

Beaumont 1998
Bellingham 1997
Cathedral Cellar 1996
Cloof 1998
Fairview Charles Back 1998
Hidden Valley 1997
Kanonkop 1998
Kleinbosch Young Vatted 1998
Longridge 1998
Savanha Reserve 1998
Stony Brook 1998
Sylvan Vale Farm 1999
Villiera G&G Reserve 1997

10月24日日テレ系列放送の波瀾万丈−田崎真也 (updated 10/24/99)

この放送は、田崎真也さんの世界一になるまでの生い立ちを紹介したものでした。田崎さんについての本はいくつも紹介されていますし、同じように生い立ちを紹介した放送も多くありましたが、最近は登場回数も割と少なくなっていましたよね。

司会の福留さんが最後におっしゃっていた「バランスが悪くてもいいじゃないですか、秀でた部分があれば、それでこうやって世界一に成れるんですから」と言う言葉は、人間の育て方のあり方として、私たち親にとって、あるいはもっと大きな教育制度全体にとっても、真剣に考えられなければならないことですよね。要するに(簡単に要したわけではないですが)何をやるにしても、自分で考えて自分で行動する力を身につけさせるということが重要なのだろうと感じました。

さて、田崎さんが最後に紹介したワインのことですが、マスカット・ベリーAという品種は、番組の中でふれられた川上善兵衛さんが、昭和に入ってすぐ作り出した交配品種です。湿度の高い越後の地で、病害虫に強いブドウを作り出したと言うわけです。川上善兵衛さんは、23歳の時に私財を投じて新潟県の岩の原葡萄園(http://www.iwanohara.sgn.ne.jp/)を設立し、ブドウ造りに適さないといわれた越後で酒造りを目指しました。時は1890年(明治23年)のことで、酒造りに米を使うのではなく、別の原料が求められたという背景がありました。日本のワインの生みの親の一人として知られています。

ベリーAと簡単に呼ばれたりしますが、英語ではMusucat Bailey Aと書きますので、果実を意味するBerryとは違います。これはマスカット・ハンブルグ種とベイリー種の交配です。これまで「これはすごい」というベリーAには出会ったことがないというのが、各国のワインを飲まれる方の意見だと思いますが、これを機会に日本の品種、日本のワインにも目をむけられてはいかがでしょうか。私もそうしたいと思います。

ウィリアムズ・セリエムの売却後(updated 10/20/99)

情報自体は少し古いのですが(6月のニューヨーク・タイムズ紙掲載)、畑とワイナリーに関する興味深い事件で、日本ではあまり知られていないことのようなのでここに載せることにしました。

ウィリアムズ・セリエムは、年間生産量8000ケース弱のほとんどピノ・ノワールだけを造る、カリフォルニア州ソノマの高級ワイナリー。そのワインはレストランおよびメーリング・リストで顧客に直販され、一般の小売り業者には卸されないワイン。(幸い、メーリングリストに載せてもらっているので、たった6本のアロケーションですが毎回欠かさず注文し、高い輸送料をかけて苦労して日本に取り寄せています)。このワイナリーが昨年950万ドルもの高値で売却された。

もともとサラリーマンだったウィリアムズ氏とワイン小売業者だったセリエム氏が1981年に自宅のガレージで作り始めたワイナリーで、バート・ウィリアムズ氏がワイン造りを担当してきた。

このワイナリーが非常にユニークなのは、ブドウ畑をもっていなかったということだ。ブドウはソノマでも良質のピノ・ノワールを生産するロキオリやアレン・ヴィンヤードなどから仕入れていた。この契約のほとんどは売却後も続いているが、最も重要なブドウである、ロキオリのピノ・ノワールが手に入らなくなってしまうという。ロキオリから仕入れて作るワインは、このワイナリーで最も高値となっている(アレン・ヴィンヤードのワインが60ドルに対し、ロキオリは125ドルです)。ロキオリはワインも畑も造っているワイナリーで、そのジョー・ロキオリは醸造家というよりも栽培家だったが、サラリーマンをしていた息子のトムがワイナリーに加わってからはワイン造りにも力を入れ始め、最近ではかなり評価の高いワインを造っている。自社のワイン造りのブドウが不足気味でも、これまではウィリアムズ・セリエムにブドウを回してきた。ジョー・ロキオリ曰く、「ウィリアムズ・セリエムが売却されたのは、自分達に必要なブドウを取り戻すいいチャンス」とコメントしている。

売却後の問題点はもう一つあるようだ。バート・ウィリアムズ氏は売却後も2、3年はワイン造りの手助けをするということだったが、新しいオーナーと新しいワインメーカーとうまくいかないらしく、99年のヴィンテージからはスタイルが変わってしまう可能性があるという。

ワイン・エステート誌の選ぶオーストラリア・カベルネ(updated 10/17/99)

オーストラリアのワイン雑誌、ワイン・エステート誌(99年9/10月号)によるオーストラリア・カベルネの上位5は以下のとおりだった。

Wynns John Riddoch Cabernet Sauvignon 1996
Cabernetの産地として有名なConnawarraのワイン。John Riddochというのは1891年にCoonawarraに最初のブドウ畑を作った人物。このワインは毎年Wynns Wineryの最高のブドウを使って作られるという。

Evans & Tate Margaret River Cabernet Sauvignon 1996
Margaret Riverはパースの南にある土地で、カベルネ・ソーヴニヨンを中心に近年注目されている土地。

Penfolds Bin 707 Cabernet Sauvignon 1996
使われるブドウは同社が所有するクナワラ、バロッサ・バレー、パサウェイ、マクラーレン・ヴェールなどのカベルネをブレンドしている。

Yalumba The Signature Cabernet Shiraz 1995
カベルネ58%、シラー41%、フラン1%という構成。ブドウはバロッサ・バレー産を使用。


Normans Eringa Signature Series Langhorne Creek Cabernet Sauvignon/Cabernet Franc 1996
カベルネ79%、フラン21%。ブドウはアデレイドの南に位置するランゴーン・クリーク産。

ペンフォールズ、ヤルンバは大手企業なので、日本にも輸出されていますが、限定生産のワインは値段も高いせいか、輸出されていないものが多いです。オーストラリア専門のヴィレッジ・セラーズあたりでは取り扱いがもしかしたらあるかもしれません。

 

トスカナでの違法ブレンド (updated 10/12/99)

先日、ワインスペクテーターに掲載されていたニュースによると、イタリアのトスカナで、違法なブレンドが行われていることが取締当局に摘発されたという。数量にして110,000ケースに相当するワインが他州産のサンジョベーゼやプリミティーボを規定の15%以上の量までブレンドされ、VdTIGT(産地特定テーブルワイン)として売られていたらしい。当局側は今のところこの違法行為を行ったワイナリーの名前を明らかにはしていないようだが、かなり名前の知れたワイナリーだという。

トスカナのVdTIGTと言えば、ソライアなどスーパータスカンとして一躍名を馳せた高級ワインも多くてワインの評価も価格も全般的に高いが、今後トスカナのワイン全体に与える影響は小さくないとも言っている。こういうことの起きた原因として、アンティノリは「トスカナのブドウの木の80%は60年代に植えられたもので、今植え替えが必要の時期であり、生産量を落とすことをきらって、他州のブドウを混ぜる輩がでてきたのだろう」とコメントしていた。

しかし、個人的に考えると、60年代に植えられたのなら、ブドウの木は樹齢30年から40年。植え替えがそれほど切迫した事態を引き起こすほどの理由になるのでしょうか?それともそれほどまでに需要が高すぎるのでしょうか? もともと15%は他州のワインをブレンドしてもよいという法律自体がおかしいとも思うが、イタリア人の法律に対する考え方はこんなものだろうかというのが感想です。

 

南アフリカのケープ・ブレンドの試み (updated 10/1/99)

最近、南アではピノタージュをベースにした新しいブレンドをつくる動きが出てきているという。ピノタージュは南アに土着の品種とされているが、ピノ・ノワールとサンソーを掛け合わせて今世紀初頭につくられたものである。これまでは比較的若飲みのワインとして扱われてきたが、1990年代になって見直す動きが起き、日本でもしばしば見かけるようになっている。独特のフレーバーのせいで、あまりブレンドされるということはなかったが、徐々に世界的に売り出されることになるかもしれない。

これまでのブレンドの成功例として、ボルドーが引き合いに出される。最近ではイタリアのサンジョベーゼベースのスーパー・タスカンは、伝統を打ち破る新しいワインとして高い評価を得るようになっているし、オーストラリアでは伝統のシラーとカベルネのブレンド、アメリカでもジンファンデルベースのものが出てきている。今年の8月に南アでは世界の著名ワイン業界人を招いてフォーラムが行われたが、そこでアメリカ、シミ・ワイナリーのゼルマ・ロング氏もこの方向性を評価したという。消費者にとってわかりやすいということで、一時は品種100%ワインが体勢を占めていたが、それに飽き足りない人たちのニーズや、手持ちの品種を有効利用しようとするワイナリー、ブレンドによって新たな可能性を追求するワインメーカーの思惑などもあって、広がりをみせている。

南アではすでにケープ・ブレンドはいくつも試みが為されているが、どんな割合で何と混ぜればベストなのかは、はっきりとしたコンセンサスはない。ケープ・ブレンドに力を入れているワイナリーの一つにUiterwyk Wine Estateがあるが、ここでは樹齢45歳のピノタージュをベースに、カベルネ・フラン、メルローをブレンドしている。プラム、スパイス、ミートといったフレーバーでタンニンもしっかりしており、約10年ほどの熟成に耐えるという。

一度味わってみたい。